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落ち着く場所で練習しよう!犬の「クレートトレーニング」3ステップ

ホリスティック獣医Sara

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落ち着く場所で練習しよう!犬の「クレートトレーニング」3ステップ

わんちゃんを迎えたときに行うべきしつけのひとつとして、“クレートトレーニング”があります。クレートトレーニングとは、いわゆる“ハウストレーニング”のこと。

しかし、「試してはみたけれど、クレートにずっと居続けることができなくて……」「鳴いてしまって困った……」こんな経験はないですか?

そこで今回は、獣医師である筆者が“クレートトレーニングの基本”について解説します。

■「クレートトレーニング」ってなに?

落ち着く場所で練習しよう!犬の「クレートトレーニング」3ステップ
出典:https://pixta.jp/

クレート(Crate)とは、もともと英語でビール瓶などを入れる木製の箱を意味していたのですが、わんちゃんのしつけに大きめのクレートが利用されるようになり、言語が一般化されました。

日本ではケージ(Cage)という言葉のほうが一般的かもしれませんが、ケージもクレートとほとんど同じ意味で、車や飛行機などで移動する際などに、わんちゃんを入れておくためのアイテムです。

クレートトレーニングとは、そのまま言葉通りにクレートを使ってトレーニングをすること。それでは、なぜトレーニングが必要なのでしょうか?

特に退屈しやすい子犬にとって、そこでじっと座って扉が再び開けられるまで待つというのは忍耐が必要だからです。そのため、子犬をクレートに入れたときに鳴き始めたり、出たりしようとするのは当然の行動です。

しかし、トレーニングによって「クレートにいれば安全なんだ」と理解してもらうことができれば、移動の時だけではなく、災害のときでさえクレートの中で落ち着いていられるようになります。

■トレーニングの「3ステップ」

落ち着く場所で練習しよう!犬の「クレートトレーニング」3ステップ
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ステップ1:クレートの中に導く

まずは、クレートをわんちゃんが落ち着けるような場所に置きましょう。とくに子犬の場合は独りになりたがらない傾向があるため、最初慣れるまではリビングの真ん中あたりがしつけしやすい場所と言えます。

満腹でないほうが集中しやすくなるため、トレーニングする日は食事1回分の量の2割を取り分けしておいて、与えるのは8割くらいまでに抑えることをおすすめします。残り2割の分はステップ2で使用します。

大好きなおやつを鼻の近くに持っていき、おやつに気づかせます。そこからクレートのなかにわんちゃんを導きます。その後でおやつをクレートのなかに落としましょう。

わんちゃんがクレートに入っても、すぐに扉は閉めないでください。最初はクレートに対する警戒心があるので、クレートの中に一旦入っても、すぐに出てきてしまうことがほとんどです。

出てきてしまっても、おやつを見せながら何度も同じことを繰り返します。おやつにあまり興味をもたないわんちゃんの場合は、大好きなおもちゃを使いましょう。

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ステップ2:クレートの扉を閉める

最も重要なのはここからです。クレートが“安全な場所”であることを、わんちゃんに理解してもらう必要があります。

なぜなら、わんちゃんがクレートのなかを安心できない場所だと感じてしまうと、クレートに入りたがらなくなってしまうから。そのため、焦らずにゆっくりとステップを踏んでいく必要があります。

クレートのなかでおやつを食べるなどして、わんちゃんが自由に入ったり出ることができるようになったら、クレートに対する警戒心がとれた証です。

そこで、今度は最初にステップ1で取り分けておいた食事の2割分を、おもちゃと一緒にクレートの奥に入れます。わんちゃんがクレートの奥に入って食事を食べ始めたら、扉をゆっくりと音を立てずに閉めましょう。

そこで食べるのをやめた場合、クレートの隙間からおやつを見せながら食器のなかに入れるなどして注意をそらし、再び食べるように促します。

最初は、食べ終わってから1~2分くらい反応を見ます。少し落ち着きのない様子が見られるかもしれませんが、クレートの隙間からおもちゃを動かすなどして、気をそらすようにしましょう。

静かにしていることができたら、扉を開けて褒めておやつをあげます。重要なのは、鳴き始めた場合には鳴きやむまで扉を開けないことです。

鳴いたときに扉を開けてしまうと、「鳴けば扉が開く」と勘違いさせてしまう場合があります。そうなると、もっと鳴くようになってしまいますので、必ず一貫した行動をとるようにしてください。わんちゃんは飼い主さんの行動をよく見ています。

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ステップ3:少しずつ時間を延ばす

ステップ2までの過程を、一日のなかで何度も繰り返しましょう。2~3分できるようになったら今度は5分間行い、5分できるようになったら今度は7~8分間、7~8分間できるようになったら今度は10分間……という具合に、少しずつクレートの中で過ごす時間を延ばしていきます。どこかでつまづいた場合は、前のステップに戻り、そこから再びトレーニングしてみてください。

クレートの中の限られたスペースで何もなく時間を過ごすというのは、わんちゃんにとっては非常に退屈な時間になります。そのため、退屈させないような道具が絶対に必要です。

大好きなおもちゃやおやつ、食事などが一般的ですが、いくら噛んでもなかなか壊れにくいようなKong(コング)という、トレーニングによく利用される道具もあります。

コングの中には空洞があるので、ウェットフードなどを入れておくことができます。そうすると、わんちゃんはそこをずっと舐め続けるようになりますので、退屈しのぎができます。

様々な工夫を施すことによって、トレーニングの効率がグッと上がるはずですよ!

■クレートトレーニングのメリットと注意点

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クレートは移動のときに利用するだけではなく、様々な用途に利用できます。例えば、雷や花火の音が聞こえてわんちゃんが怖がっているとき、小さな子供が遊びに来てしっぽを引っ張るなど、わんちゃんの嫌がることをされてしまうような場合、室内の設備が壊れて修理してもらうときなどに、クレートの中でじっと待ってもらうこともできるのです。

そのような目的でも利用することになるため、クレートの中では決して嫌がるようなことはしないようにしましょう。罰を与える目的でクレートを使用することは、わんちゃんを混乱させるためおすすめしません。

またトレーニングに利用するおやつは、一日のなかで食事全体の10%を上回らないように注意しましょう。

■どれくらいの時間ならクレートに入れたままで大丈夫?

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クレートの空間というのは限られたスペースになり、あまり自由に身動きがとれません。そのため、夜間の睡眠時、災害時や飛行機などによる長距離移動で、どうしてもクレートの外に出せないような状況でない限りは、外に出してあげましょう。

長時間クレートに閉じ込めておくということは、運動機能が制限されたり精神面への影響から社会化の妨げになるとして、欧米では推奨されていません(※1)。

各協会によって多少ばらつきはありますが、ASPCAAmerican Society for the Prevention of Cruelty to Animals:米国動物虐待防止協会)では長くても8時間まで、米国愛護協会(The humane society of the united states)APDTAssociation of Pet Dog Trainers:英国ペットドッグトレーナーズ協会)では4時間まで、RSPCARoyal Society for the Prevention of Cruelty to Animals:英国動物虐待防止協会)では3時間までを限度としています(※2・3・4・5)。

お仕事などで、どうしても留守番の時間が長くなってしまうような場合には、クレートの外で過ごさせるようにトレーニングするか、ペットシッターさんに世話をお願いするようにしましょう。

今回はクルートのトレーニングについてお話しました。わんちゃんと、より楽しく生活していくために、ぜひ参考にしてみてくださいね!

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【参考】

※1 Dalla VP, Barnard S, et al. Behavioural and physiological responses of shelter dogs to long-term confinement. Vet Ital 2013; 49(2): 231-241.

※2 Heather M. How to crate train a puppy: American Society for the Prevention of Cruelty to Animals pet health insurance.

※3 Crate training 101: The humane society of the United States.

※4 Maureen B. House training, setting standards in dog training excellence. Association of Pet Dog Trainers Ireland.

※5 Crate training your dog. Royal Society for the Prevention of Cruelty to Animals Victoria.

【画像】

※ YAMATO, shi-ko, takumy00, sasakura_yoshimichi, maroke, 篠原栄治, makotomo / PIXTA(ピクスタ)

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