わんにゃとの暮らし

やることがいっぱい!猫の「出産と子育て」について~後編~

獣医師
菊池亜都子

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やることがいっぱい!猫の「出産と子育て」について~後編~

前回の記事“恋の道のりは長いニャ!猫の「出産と子育て」について~前編~”では、ねこちゃんの発情から交尾までについてご紹介しました。後編の今回は、その後、子猫を産んで育てるまでをご紹介します。

■妊娠はどういう経過をたどる?

前回お伝えしたように、ねこちゃんは交尾の刺激によって排卵をするため、交尾をすればかなり高い確率で妊娠が成立します。

お母さん猫の妊娠期間は約2ヶ月(62~66日)です。妊娠20日頃から乳房がピンク色になります。そして、食欲が落ちたり吐いたりするなど、つわりのような症状がみられます。

妊娠30日頃にはお腹が大きくなり、乳房が張ってきて、妊娠45日頃からは食欲旺盛になりますが、出産24時間前くらいになると食欲は一気に低下します。

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出典:https://www.shutterstock.com/

ちなみに、ねこちゃんは妊娠をしても発情することがあり、妊娠中に別の男の子と交尾をすることが可能です。したがって、お父さんが違う子猫を同時に産むことがあると考えられています。兄弟なのに、毛の柄がまったく違うねこちゃんたちがいますが、もしかしたらお父さんが違うのかもしれません。

とはいえ、同じお父さんでも、そのお父さんにいろいろな毛柄の遺伝子が含まれていれば、毛柄が異なることがあります。お父さんが同じであっても、毛柄が異なることは十分にあり得ます。

■いよいよ出産…新しい命の誕生へ

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出産3~4時間前になると、お母さん猫は落ち着きがなくなり、足踏みをしたり鳴き声を上げたりします。また、警戒心が強くなり、攻撃的にもなります。そして、いよいよ出産が始まります。

破水後の第1子の出産は、数分間の陣痛を3~4回繰り返した後に起こります。1匹の出産に30分ほどかかりますが、場合によっては1時間以上かかることもあります。

お母さん猫が1度の出産で産む子猫の数は、平均で4匹(1~8匹)です。陣痛と分娩を繰り返し、すべての子猫が産まれるまでに、2~6時間くらいを要します。

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お母さん猫は、産まれた子猫の体を舐めて呼吸を促し、へその緒を噛み切ります。ほとんどのお母さん猫は出てきた胎盤を栄養補給として食べますが、まれに下痢をすることがあります。

そして、お母さん猫は子猫の体を一生懸命に舐め続け、濡れた被毛を乾かすとともに、自分の子どもであることを舐めることで認識するのです。

子猫はすぐに本能的にお母さん猫のおっぱいを探し、お乳を飲み始めます。

■子育てはやることがいっぱい!

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出典:https://www.shutterstock.com/

無事に母親となったお母さん猫には、子育てという重要な役割が待っています。出産後しばらくの間は、お母さん猫は、ほとんどの時間を子猫と一緒に過ごし、その多くの時間を授乳に費やします。

産後10日くらいの間の母乳を初乳と言い、初乳には免疫力を高める抗体が豊富に含まれています。この初乳である母乳を子猫に飲ませることで、子猫の免疫力が高まり、病気への抵抗力がつくのです。

また、生まれたばかりの子猫は、自力で排泄できないため、お母さん猫が陰部や肛門を舐めて刺激を与える必要があります。

排泄物はお母さん猫がきれいに舐めとりますが、これは子猫の体を清潔にする以外に、外敵に居場所を知られないよう、排泄物のニオイを残さないという理由もあります。

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上記以外にも、お母さん猫は子猫をしきりに舐めますが、子猫の精神的な安定にも非常に役に立っています。母親からグルーミングなどをたっぷり受けて育った子は、世話を受けなかった子に比べて成長後に不安を感じにくく、攻撃性も低くなると考えられているのです。

さらに、お母さん猫は子猫を外敵から守るためには、たとえ自分の身に危険が及ぼうとも、本気で子猫を守ります。それは、自分よりも力が強いオス猫であっても、大好きな飼い主さんであっても、子猫の安全を脅かすと判断すれば、容赦なく攻撃して子猫を守ろうとするのです。

それから、お母さん猫は子育て中に、何度も引っ越しをして居場所を変えます。その理由の一つとして、出産の時の血液や子猫のニオイを嗅ぎつけられて、外敵に襲われないようにすることが挙げられます。

それ以外にも、温度や明るさ、広さ、狩りのしやすさなど、より子育てに適した場所を求めて引っ越しを繰り返します。

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出典:https://www.shutterstock.com/

そして、出産してから3ヶ月から半年くらいの間に、親離れの時期がやってきます。お母さん猫が「この子は大丈夫」と認めたときに、いきなり子猫に対して威嚇をし、追い払おうとします。子猫が巣立っていくことを後押しするのです。

お母さん猫の愛情はとても深いですね。ねこちゃんにとって、発情、交尾、妊娠、出産、子育ては、場合によって自身の生存よりも優先されるほどの命がけのイベントです。

愛猫が人生の転換期を迎えたときは、ねこちゃんの気持ちに寄り添い、サポートしてあげましょうね。

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【参考】

※ 中尾敏彦ほか編(2012)『獣医繁殖学 第4版』文永堂出版.

※ 森裕司ほか著(2012)『動物行動学』インターズー.

【画像】

※ Prostock-studio, Parichart Patricia Wong, Thanakornbb, Rashid Valitov, Andrey_Kuzmin, Irina Kozorog, Grigorita Ko / Shutterstock

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