いよいよやって来た暑~い夏。この時期は、熱中症に注意しなければいけません。冷房などの空調管理ですでに対策されている方も多いかと思いますが、行動学的にも夏をクールに過ごすための方法があるんです!
夏を快適に過ごす方法を、獣医行動診療科認定医の著者が「行動学」的な側面からアイデアをご紹介いたします。 特に興奮しやすいわんちゃんは必見です。
■犬は熱の発散が苦手な動物
解剖生理学的に、わんちゃんは暑さの対応が苦手な動物になります。苦手だといわれている理由2つを解説します。
(1)汗をかかない
人間は、汗をかいて体温の上昇を防いでいます。皮膚には、「アポクリン腺」と「エクリン腺」の2種類の汗腺があります。体中から噴出するような水っぽい汗は、エクリン腺から出てきます。わんちゃんはエクリン線をほとんど持たないので、人間のように全身で汗をかくことはできません。そのため、汗によって体温を低下させることが苦手になります。
(2)唾液を全身につけたりしない
暑い日でも、ねこちゃんはハアハアせずに過ごしていることがあるかと思います。一説には、ねこちゃんは体につけた唾液を蒸発させることで、体温上昇を防いでいると言われています。わんちゃんはこのようなグルーミング行動の習性はありませんので、ねこちゃんよりも体温が上がりやすいと考えられています。
■クールダウンにつながる3つのこと
前述の通り、わんちゃんは体温を低下させることが苦手な動物といわれています。つまり、暑い日は落ち着いて穏やかに過ごせた方が健康にも有利になります。
しかしながら、吠え続けてしまったり、興奮が止まらなかったりするような場合には注意が必要です。興奮が続いてしまうと、体温が上昇してしまいます。暑い日であれば、熱中症につながることも予想されます。日ごろから実施しておきたい3項目について説明します。
(1)環境の見直し
空調が整っているお部屋ということは大前提ですが、刺激に反応しやすいわんちゃんの場合は、ハウスの位置には注意してあげてください。例えば、通行人がよく見えるお部屋ではなく、見えにくいお部屋に変更してあげるなどです。刺激があるとどうしても大興奮してしまうということであれば、環境の見直しをしていただくことも大切です。
(2)落ち着いている行動を増やしていく
わんちゃんはどんな状況で興奮しますか? お散歩前、遊びが開始する前、オヤツをおねだりする時、来客時など……それぞれ異なる場面で興奮するのかもしれません。興奮するのではなく「○○しているとよいことだよ」と教えてあげることが必要です。
日ごろから、伏せていたり、飼い主さんに集中して見つめてくれていたり、落ち着いている行動に対して褒めてあげることは、「落ち着く行動を増やしていく」ことの第一歩につながります。
トレーニングスケジュールが必要なこともありますので、専門家にご相談されることもよい方法でしょう。
(3)ハウストレーニング
ハウスの中に落ち着いて安心して待機する練習は、クールダウンの練習にもつながります。ハウスの中にいる間、知育玩具で遊んだり、オヤツを食べたり、楽しい経験を積み重ねていくことで、ハウスの中が心地よい場所だと学習されていきます。
興奮しにくい行動パターンを教えてあげることで、わんちゃんの体温上昇を予防することができます。熱中症を予防しながら、わんちゃんと楽しい夏をお過ごしくださいね!
※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。
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※ The Dog Photographer,Aleksandra Dabrowa,APIWICH PUDSUMRAN / Shutterstock
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