※2021年7月20日情報更新
例年夏は猛暑。気温も湿度も上がる季節は、熱中症が原因で動物病院に駆け込むケースが増えてきます。熱中症は、場合によっては命に関わる病気なのです。そのため、何よりも熱中症にならないように、予防、つまり暑さ対策をしてあげることが重要です。そこで今回は、犬の暑さの感じ方や熱中症対策について解説いたします。
■犬は暑さが苦手な動物
犬も人間と同じように、暑さや寒さを感じる動物で、特に人間よりも暑さが苦手といわれています。犬種や生活環境によって個体差はありますが、どちらかというと犬は寒さに強い動物と考えられています。
寒さに対しては、長毛の犬の多くは非常に密度の高い毛や、アンダーコートなど2層構造によって、上手に体温を保温しています。しかし、逆に暑さに対しては、熱を逃がす仕組みが人間ほど発達していません。
■犬の体温調整の仕組み
人間は、暑さを感じると「汗」をかくようになります。汗は皮膚に付着することで熱を奪って蒸発するので、体温を下げる効果が得られるのです。汗は皮膚組織の中の「汗腺」と呼ばれる分泌腺から出るのですが、犬はこの汗腺の数が人間よりも圧倒的に少なく、ほんのわずかしか汗をかくことができません。
犬は高い気温のなかで体温が上がってしまうと、熱中症などの病気にかかりやすいため注意が必要です。
犬が体温を下げるときは、「呼吸」によって体で温められた空気を吐き出し、体温より低い温度の空気を吸い込むことで、体全体の体温を維持しています。そのため、パグやフレンチブルドッグなどの短頭種は呼吸の異常を持っているケースが多いとされており、体温を下げる仕組みが非常に弱いため、暑さに足しては積極的な対策が必要です。
さらには、肥満の犬、呼吸器や循環器の持病を持つ犬では、より体の負担が大きくなるため、やはり短頭種と同様に暑さにはよりしっかりとした対策が必要になります。
■犬の暑さのサインは?
犬が暑さを感じると呼吸によって体温を下げようとするので、犬が暑がっているときには呼吸が速くなります。いわゆる「パンティング」と呼ばれる呼吸です。私たちが全力疾走した後に「ハァッ、ハァッ」となるような荒い呼吸です。
パンティングの際、犬は舌を出しながら呼吸をしていて、場合によってはヨダレを垂らしていることもあります。このような仕草を見て、私たちは犬が体温を下げようとしているのに気づくことができます。
しかしその一方で、暑さを感じても一見なんの仕草も見せない犬もいます。その場合、犬が暑がっていることに気づかず、知らず知らずのうちに熱中症にかかってしまうこともありますので、気をつけるようにしましょう。
■少しでも体調に異変を感じたら動物病院へ
前述のとおり、犬は体温を下げることが人間ほど上手にできないため、暑さによって体温が上がってしまうと、熱中症にかかってしまいます。しかし、犬の熱中症の症状は様々で、体温が上がることやパンティングはもちろん、少し大人しくなるだけの場合や、軟便になる、あるいは血尿やショック状態に陥ることもあります。
熱中症は放っておくと、どんどん命に関わる状態に陥ってしまいますので、少しでも怪しい時は、動物病院を受診するようにしてください。
■犬が暑がっているとき家庭でできる対策法
まず、犬がパンティングをしているのを見つけた場合には、涼しい場所で安静を保つようにしてください。また、暑い日は、下記のような対策をしてあげてください。
・地面が十分に冷えたことを確認してからお散歩する
・車内で絶対にお留守番させない(たとえエアコンをつけていても)
・自宅でお留守番させる時は、必ずエアコンをつけておく
犬は暑さが苦手な動物のため、パンティングなどをして暑さを感じているように見えるときは、すぐに涼しい場所で休ませるようにしましょう。また、少しでも暑さで体調を崩しているように感じたら、熱中症にさせないためにも早めに動物病院を受診することをお勧めします。
また、暑さ対策は、暑くなってから対応するのではなく、暑くなる前にすることが重要です。
※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。
【関連記事】
※ 犬が苦手な「気温&湿度」ってどれくらい?エアコンを活用法も解説
【画像】
※ C.Aphirak,malamooshi,Ezzolo,Kittima05,S Curtis,Pressmaster / Shutterstock
戻る
みんなのコメント