※2020年5月7日情報更新
かわいいねこちゃんを見ていると、モフモフしている姿に胸がキュンとなり、ナデナデしたくなる方も多いのではないでしょうか。しかし「撫でる」とは、人同士のコミュニケーション方法なのです。
人からねこちゃんが撫でられることはどういうことなのか、ねこちゃん目線の気持ちについて獣医行動診療科認定医の筆者が解説いたします。
■人と猫の愛情表現の違い
・人の場合
人は相手を撫でることで、愛情表現を行う動物です。さらに社会性が高く、相手と愛情を持って一緒に過ごしたいという気持ちも強い動物です。そのため、信頼関係や愛着が強い人同士であれば、撫でられることがとても心地よく、嬉しいと感じることができます。
・猫の場合
ねこちゃんは仲間と濃厚な関係を作りたいと考えていない傾向のある動物です。子猫と母猫の関係性は濃厚ですが、成長すると個人を重要視した生活が中心になります。母猫と子猫、好き同士の愛情表現には「撫でる」という行動パターンはなく、「舐める」という行動がメインになります。
■撫でられているときの猫の気持ちは?
ねこちゃん目線で、撫でられることに対する気持ちを代弁してみたいと思います。いろいろなねこちゃんからのメッセージだと思って読んでみてください。
「撫でられるとついついゴロゴロしちゃうんだニャ~」
子猫時代に人から優しいハンドリングをされると、それを学習し、受け入れやすくなると言われています。
「撫でられるのは緊張する……分かってもらえると嬉しいニャ」
子猫時代に人との接触がなかったねこちゃんは、人との接触を受け入れられない育ち方をする傾向にあるといわれています。人がナデナデしてくると、不自然で緊張してしまうのです。猫社会で経験していないことは、ねこちゃんが受け入れるまでに時間が必要です。保護猫などは特に、その点を理解してあげる必要はあるでしょう。
「嫌いじゃないけど、今はそんな気分じゃないニャッ!」
甘えん坊なねこちゃんでも、ひとりの時間も大切にしたいのがねこちゃん。ねこちゃんのボディーランゲージを読み取りながら、愛情の押し売りはしない方がよいでしょう。"この飼い主さんは私の気持ちを理解してくれない”と感じると、大好きなねこちゃんから避けられることにつながることもありますのでご注意ください。
「長すぎ!撫ですぎなのニャ!」
ねこちゃんを触っていたら急に噛まれたり、引っかかれたりした経験がある方も多いのでは? 人間の尺度で撫ですぎるとイライラさせてしまうこともあります。人間の尺度で短すぎるくらいがちょうどよいのでしょう。
「そこも触るの!?そこは猫的にNGだニャ!」
仲良し同士のねこちゃんでも、首から上を舐め合うことが基本です。つまり、首から下を撫でられることはあまり得意ではないのです。また、ガシガシ撫でられるのも苦手な子が多いです。歯ブラシや指でコチョコチョ触られた方が受け入れやすいねこちゃんが多いです。
人間からしてみれば、大好きなねこちゃんに愛情をたっぷり注ぎたい一心でナデナデしてしまいがち。ねこちゃんの気持ちも理解してあげながら、愛情あふれる絆を作ってくださいね。撫でられることに対しての受け入れ方は、個体差が多いと筆者は感じています。愛猫の性格に合わせて対応してあげたいですね。
※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。
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※ Serge Vo,Jacques Julien,Africa Studio / Shutterstock
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