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【獣医師執筆】なんでそんなに夢中なの?猫が「魚」を好きな理由を解説

黒須星翔

獣医師
黒須星翔

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【獣医師執筆】なんでそんなに夢中なの?猫が「魚」を好きな理由を解説

「お魚くわえたドラネコ、追っかけて~」みなさんもよくご存じですよね。サザエさんの主題歌です。この歌に出てくる猫は魚をくわえて逃げています。これを見た人は、猫は魚が好きなんだと思いますよね。筆者も小さいころ、サザエさんをみて、猫は魚が好きなんだ、と思っていました。

では、猫は本当に魚が好きなのでしょうか? 今回は筆者が考える、日本の猫が魚を好きな理由をご紹介します。

■もともと猫は肉食動物!

なんでそんなに夢中なの?猫が「魚」を好きな理由を獣医師が解説
出典:https://www.shutterstock.com/

猫はネコ科の動物です。ネコ科の動物にはライオン、トラ、ヒョウなどがいます。基本的にネコ科動物は肉食動物です。

■猫は肉食と魚食どっちが好き?

なんでそんなに夢中なの?猫が「魚」を好きな理由を獣医師が解説
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生の牛肉と生魚を準備して、猫たちはどちらを食べたがるのか実験した結果が、インターネットに数多く出ています。気になる結果ですが……生魚には興味なし、という見解が多くを占めているよう。やはり猫は牛肉の方が好きみたいですね。

■なぜ日本の猫は魚好き?

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今年の412日にNHKの『チコちゃんに叱られる』で、この問題を取り上げていました。正解は……日本人が魚好きだから。

日本人の魚好きと猫の魚好きはどのように関係があるのでしょうか。考えてみましょう!

■江戸時代の生類憐みの令(動物愛護の法律)がきっかけ!

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日本では奈良時代に仏教が中国より伝えられました。その時、大事な仏教の本(経典)をネズミにかじられないよう、ネズミを退治するために猫も一緒に日本に連れてこられました。実は弥生時代からいたのでは? 等、現在研究が進む中で諸説出てきているものの、日本での猫の飼育はここから始まったと考えられてきたのが一般的です。

江戸時代になって、五代将軍徳川綱吉のときに“生類憐みの令“という法律が出されました。この綱吉という人は大の動物好きで、生類憐みの令は動物をむやみに殺してはいけないという法律です。今でいう“動物愛護法”ですね。

この時代、欧米では動物はモノであり、動物愛護の概念はまだなかったと思われます。世界に先駆けて日本でこのような法律を作られたということは、素晴らしいことです!

話が少しそれましたが、この法律によって、それまでひもでつながれていた猫も放し飼いとなりました(当然、犬もです)。

猫の繁殖力は犬より強いとされています。そのため、放し飼いにより爆発的に数が増えました。当時、江戸(現在の東京)には犬が100万頭以上いたと言われています。おそらく猫は犬と同等、又はそれ以上にいたのではないでしょうか。

■江戸時代の庶民の食べ物の残りものを猫に与えていた

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江戸時代にも猫好きの人がたくさんいたのでしょうね。その猫に与えるエサは当時の人の食べ残しだったと言われています。

では、江戸時代の人は何を食べていたのでしょうか? 元々日本人は肉を食べる習慣はなく、代わりに魚を食べていたと言われています。その食べた残り物を猫に与えていたのでしょう。

■海外の猫は何を食べているの?

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日本では猫は“魚好き”のイメージが強くなっていますが、海外ではどうでしょうか? 世界的にみれば、猫は牛肉や鳥肉を好む傾向にあるとされています。海外の猫の栄養学に関する本では、“珍しいことに日本では猫に魚を食べさせている”と書かれているくらいです。

■猫の食べる好みは育った環境で決まる!

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猫は肉食動物ですから、魚を食べることもあるでしょう。しかし、“ネズミを捕る”という習性からもわかるように、すべての猫が特別魚を好んで食べているというわけではありません。猫が何を好んで食べるかは、その猫がどのような環境下で育ってきたかということに左右されるのではないでしょうか。

例えば、漁村で育った猫は魚好きになると想像することができますし、肉を与えられて育った猫は肉好きになるのでしょう。一般的に、猫は離乳期から成長期にかけて食べたものを好む傾向にあるとされています。

■魚を与える注意点

猫が魚を食べてはいけないわけではありませんが、魚を食べすぎると栄養バランスが崩れて、健康を害することがあります。

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出典:わんにゃ365

たとえば、“青魚”と呼ばれるマグロやサバ、カツオ、アジなどを日常的に与えていると、黄色脂肪症(イエローファット)という病気になることが懸念されます。

青魚には不飽和脂肪酸という成分が含まれています。この不飽和脂肪酸は、サラダ油やオリーブ油にも多く含まれており、血中のコレステロールを下げる働きをしています。

人間にとっては良いのですが、猫にとっては逆に、摂取し過ぎると病気になってしまうのです。黄色脂肪症になると体内の脂肪が酸化し、痛みが出る上に死亡してしまうこともあります。こういった魚だけを与えるのは危険な行為なので、注意が必要ですね。

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【参考】

なぜ猫は魚好き?→日本人が魚好きだから。猫の味の好みやこだわりは乳離れした後の約12週に食べたもので決まる

【画像】

※ Kisialiou Yury, Master-L, Lisovskaya Natalia, gontabunta, KPG_Payless, Kevin Hellon, Nataliia Melnychuk, PHOTOCREO Michal Bednarek / Shutterstock

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