※2020年5月4日情報更新
わんちゃんが幸せな生活を送る上で、飼い主さんとの信頼関係は何よりも大切です。わんちゃんにとって唯一無二の信頼できる飼い主さんでいることは、安心感を与え、その結果わんちゃん自身がとても穏やかでいられるのです。
しかし、特に意識していない飼い主さんのある行動が、わんちゃんとの信頼関係を壊してしまうかもしれません。今回は、獣医師である筆者が考えるついついやってしまいがちなNG行動をご紹介します。
■1:怖がらせる罰を与えてしまう
わんちゃんが何かいけないことをした時に、叩く、殴るといった体罰を与えることはもちろんのこと、わんちゃんが嫌がるような音を出して脅かす、近くに物を投げつける、リードを思いっきり引っ張ってショックを与える、マズル(鼻口部)を掴む、口頭できつく叱るといった行動は、わんちゃんにとってとても怖い罰になります。
罰は、適切なタイミングと適切な強さで与えなければ、まったく意味を成さないばかりか、むしろ逆効果になってしまいます。そういった意味でも、飼い主さんが本当に効果的な罰を与えることはとても難しいことなのです。
わんちゃんは、何を叱られているのかを理解しないまま、罰を与えた人やその時の状況に対して嫌なイメージを抱いてしまいます。「この人は怖い人」と思うだけで根本的な解決には至ることはなく、ただただ信頼関係を壊すだけではないでしょうか。
直接体罰を与えるだけではなく、わんちゃんを怖がらせるような罰は決して与えないように気をつけましょう。
■2:飼い主さんの対応が一貫していない
たとえば、昨日は許してくれたのに今日はダメと言われたり、同じ家族でも、お父さんとお母さんでは対応がまったく違ったり……。そうすると、わんちゃんは何が良くて何が悪いのか分からず、とても混乱してしまうのではないでしょうか。
基本的に、わんちゃんは一貫した行動を好むため、常に一貫した対応をしてくれる人を信頼する傾向があります。
日によって、あるいは人によって対応が変わってしまうと、途端に信頼関係が壊れていく可能性があります。
ぜひとも、わんちゃんへの対応は常に一貫している飼い主さんでいてください。
■3:嫌がることを強要してしまう
わんちゃんが嫌がっているサインをきちんと理解してあげていますか?
たとえば、お散歩後の足拭きはどうでしょうか。足先はわんちゃんにとってとても敏感な部位ですので、足拭きが苦手なわんちゃんは多いです。嫌がっている素振りを見せているにも関わらず、「わがままは許さない」という気持ちで、ついつい無理やり拭いていませんか?
これはほんの一例ですが、他にも無理やり抱っこをする、服を着せる、ブラッシングをする、爪切りをするなど、わんちゃんにとっては苦手なことって意外と多いのです。そんな時、わんちゃんはきっと嫌がっているサインを出しているはずです。
いわゆるストレスサインと言われているものですが、代表的なものとしては、暴れる、逃げようとする、震えるなどが挙げられます。場合によっては、唸る、歯を剥き出す、咬もうとする……などもあるかもしれません。この場合、飼い主さんは「攻撃的になるなんて!」と、叱るなどして無理やり続けてしまいがちですよね。
でも、わんちゃんは「いやだよ!」「やめてよ!」というサインを出しているのです。
このサインを無視してしまうと、「せっかくサインを出しているのに分かってくれない」「この人は信用できない」となってしまう危険性があるのではないでしょうか。
もし、ストレスサインに気づいたら、決してそれ以上は強要せず、一度止めましょう。そして、それが本当に必要かどうかをよく考えていただき、どうしても必要な場合には、嫌なイメージを払拭するために根気強く練習してあげてください。練習は、わんちゃんにとって嫌なことをする時に、褒めながら大好きなおやつなどを食べさせることで、良いイメージに変えていくことが基本になります。我慢させてから最後におやつを与えるのもいいのですが、嫌なことをしている最中に、大好きなことをさせる(おやつを食べさせるなど)ことがポイントです。
■4:エネルギー発散の要求を満たしてあげていない
わんちゃんにとって、散歩に行ったりおもちゃで遊んだりすることは、最も基本的なエネルギーの発散方法です。エネルギーの発散が十分に行われていれば、わんちゃんはおいしくごはんを食べたり、ぐっすり眠ったりすることができ、充実した毎日を送ることができるはずです。
動物が生きていく上で基本となるエネルギーの発散の要求を十分に満たしてあげることは、飼い主さんの責任といえるでしょう。この責任をきちんと果たすことによって、わんちゃんとの信頼関係も自然と築いていけるはずです。
ぜひとも、この基本的欲求を満たしてあげているかどうか、つまり、散歩や遊びは足りているかどうかを振り返ってみてください。
いかがでしたか?
今回は一般的に言われている事例を挙げましたが、実際に当てはまるかどうかはわんちゃんによってさまざまです。ぜひともご自分のわんちゃんをよく理解してあげることから始めてみてください。
※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。
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