ジャパンケネルクラブ(JKC)の調査によると、2008年から“トイプードル”の登録件数は2017年まで連続1位の状態です。日本では非常に人気のある犬種です。
筆者が2011年に行動診療科を開業した当時、攻撃行動の相談は柴犬がトップだったのですが、ジワジワとトイプードルの相談件数が増えています。現在はトイプードルが1位、2位を常に争っている状態です。
そこで今回は、トイプードルの飼い方について“トリミング時の攻撃行動”という部分に注目して、獣医行動診療科認定医の筆者がご紹介します。
■トイプードルはトリミングが重要!
わんちゃんには多くの攻撃行動パターンがありますが、トイプードルに特化した攻撃行動により、“トリミングができない”という相談が多くあります。常にトリミングを必要とする犬種になりますので、本当に困ってしまいます。
トイプードルは生涯に渡りトリミングが必須になる犬種です。この作業が“嫌い”だと、大変なことになってしまいます。このような攻撃行動を防ぐために、正しいしつけを行うことが大切です。
■トリミングは具体的になにをするの?
「毛が抜けない犬種だと聞いたけど、どうしてトリミングが必要なの?」そんな疑問もあるでしょう。まずは“トリミングの必要性”について3つ説明します。
(1)被毛
シングルコートで抜け毛がないことが特徴ですが、伸び続けてしまうために月1回程度の定期的なカットが必要になります。
(2)ブラッシング
毛が絡まりやすく、毛玉になりやすい毛質です。シャンプーやカット前に十分にカットしておかないと、カットの際に皮膚に負担をかけてしまいます。毎日のブラッシングは必須です。
(3)シャンプー
皮膚を健全に保つためにも、カットをするためにも、シャンプーを行なう必要があります。定期的にシャンプーすることを心得ておきましょう。
■トリミング嫌いを作らない方法4つ
続いてはトリミングが嫌いにならないために、ぜひやってほしいことを4つお伝えします。
(1)全身に触られることの練習
トリミングは全身必要になります。どんな部位を触られても平気にしておくことが重要です。子犬のころからやさしくマッサージする習慣をつけておくと効果的です。人から触られることを心地よく受け入れられるように、毎日の日課として定着させておくとよいでしょう。
(2)ブラッシングを大好きにする
子犬のころから「ブラッシングはよいこと」と教えていきます。舐めたりかじったり、夢中になれるおやつやおもちゃを活用するとやりやすいでしょう。緊張してブラシを凝視している時は、ブラシをそれ以上動かさないことがポイントです。警戒心を高めてしまい、攻撃行動を誘発する可能性があるからです。楽しいことに結びつけながら練習しておくことが大切です。
子犬時代からこの練習をおこなっておけば、おやつやおもちゃをご褒美として与えなくても、ブラッシングをご褒美として活用できるようにもなります。詳しい練習方法は、行動学に詳しい獣医師や動物看護師、しつけ教室の先生に教えてもらうとよいでしょう。
(3)シャンプーの練習
シャンプーをするときは、シャワーとドライヤーを使います。シャワーやドライヤーの刺激を多く経験させておくと効果的です。経験させるだけでなく、楽しい事と結びつけるとよいでしょう。お風呂場で一緒に遊んだり、おやつを食べたりしながら自宅練習するのがおすすめです。
(4)カットの練習
ハサミ、バリカンなどの器具が体に近づいても平気だと教えてあげましょう。自宅でカットするのは難しいですが、真似することはできます。トリマーさんの動きを観察したり教えてもらったりして、自宅でもトリミングのまねっこ遊びをしてみてください。
わんちゃんによっては、シャンプーやトリミング中にすでに攻撃行動が出現している場合があります。このような場合は、専門家の指導の下で対応することが必要なので注意してください。
トイプードルを飼うにあたってトリミングは一生必要です。この作業を大好きにすることで、いつも清潔に、また健全に皮膚や被毛を保つことができます。さらに攻撃行動の予防ができます。愛犬と一緒に、楽しくトリミングごっこをしてくださいね。
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