【獣医師執筆】飼い主さんとの楽しい思い出が重要！犬の「記憶力」についてわかってきたこと｜記事｜わんにゃ365

※2020年11月2日情報更新

みなさん、“忠犬ハチ公”の話をご存知ですか？　亡くなった飼い主さんの帰りを東京渋谷駅の前で約10年間待ち続けたというわんちゃんです。

飼い主さんとの楽しい思い出が重要！犬の「記憶力」についてわかってきてこと — 出典：わんにゃ365

現在、渋谷駅前には忠犬ハチ公の銅像が建てられています。この銅像は渋谷のシンボルにもなっています。

このことからもわんちゃんは飼い主さんを忘れない、すなわち、“ちゃんと記憶している”ということです。では、そのわんちゃんの記憶力はどれくらいなのでしょうか？

■犬も学習して覚えていく！

記憶には、感覚記憶、短期記憶、中期記憶、長期記憶の4種類があり、その種類により保存期間が異なります。

（1）感覚記憶は、視覚、聴覚、触覚、嗅覚等、感覚による記憶で、1秒程度で消失します。

（2）短期記憶は、外から得た情報を受け入れ、それを覚え込む記憶で、数10秒から数10分保持されます。

（3）中期記憶は、短期感覚で記憶した中で、興味のある情報は一時的に貯蔵されます。その記憶を長期記憶にするのかどうかが判断されるまでの記憶で、1時間～1ヶ月程度保持されます。

（4）長期記憶は、一時的に貯蔵されている記憶のうち、情報の意味を解釈したり、他の情報と関連付けが行われたりした記憶（連想記憶）で、数時間～生涯保存されます。

わんちゃんの記憶にも短期記憶と、長期に渡り覚えている連想記憶があり、短期記憶については10秒程度で忘れてしまうそうです。そのため、わんちゃんが何か悪さをした時、その場ですぐに叱らないと効果がありません。

わんちゃんは物事を関連付けて記憶する連想記憶が得意です。小さな頃から共に暮らしている飼い主さんの姿（視覚）や声（聴覚）、そして匂い（嗅覚）を様々な出来事に関連付けて記憶しており、飼い主さんの事を忘れることはありません。

また、繰り返し教わったお手やおすわり、トイレの場所も、“上手に出来る事＝飼い主に褒められる”といった楽しい思い出が、長期記憶として頭の中に残っています。

人間同様にわんちゃんの長期記憶も、長いものでは生涯忘れることなく、記憶として保存されると考えられています。

最近、ハンガリーの研究チームが、「わんちゃんたちは過去の出来事や思い出を覚えている、または思い出す事ができる可能性がある。それはわんちゃんたちが自分に起こった重要な出来事だけではありません」と発表しました（※）。わんちゃんたちは、私たちが取っている行動の細かい事まで覚えている可能性があるという事です。

このように、わんちゃんの記憶力が最近ようやくわかってきました。結局、人と同様に色々な事を学習して覚えていくのですね。