保護犬や保護猫を自宅に迎える人が増えてきた近年は、インターネット上の「里親マッチングサイト」から犬猫を引き取りたいと考える人も多くなってきています。
そんな中、2019年6月にサービスが開始された「ぽちとたま」は個人・団体関係なく里親を募集でき、全国各地の譲渡会告知やミルクボランティアの募集も全て無料で掲載できる里親マッチングサイト。
今回は「ぽちとたま」を運営している一般社団法人 和(わ)の代表理事・梅本さんにサービス開始に至った理由やサイトに込めた想いなどを伺いました!
■保護猫3頭の飼い主さんが立ち上げた「ぽちとたま」
―本日はどうぞ、宜しくお願い致します。早速ですが、「ぽちとたま」を運営することになったきっかけを教えてください。
梅本さん:私自身、保護猫を3頭飼っており、ペットショップ経由で飼うだけではなく「里親」という選択肢があるということを広げたいと思っていました。そうした想いを抱えていく中で気づいたのが、里親マッチングサービスを行っているウェブサイトは決して多くはなく、何かのサービスに紐付いていることがほとんどだということでした。
利益を生みやすいビジネスモデルではないため参入する企業が少ないのが理由だと思うのですが、今のままだと業界自体の発展がなく、サービス向上の競争原理も働かないので、「だったら自分で立ち上げてみよう」と思いました。お互いが切磋琢磨し、利用者様に良いサービスを提供できればと考えています。
―具体的に他の里親マッチングサイトとは、どんなところが違うのでしょうか?
梅本さん:一番の違いはサイトに辿りついた時に、保健所等に収容されている動物たちがすぐに確認できるようなデザインにしていることです。動物保護施設に収容されているということは、いわば命の期限が限られているということ。何よりも優先して里親が見つかってほしいと思い、配置にこだわりました。
また、預かりボランティアをいかに増やしていくかも大切だと考えているので、個別に募集ページも設けています。
―サイトのデザイン以外にも、身寄りのないペットと里親さんがマッチングしやすいよう、工夫された点などありますか?
梅本さん:私は里親マッチングサービスで大切なのは、里親を希望している方への露出を増やすことだと考えています。里親のマッチングは「ぽちとたま」内だけで完了するわけではなく、最終的には里親希望者が譲渡される方と会い、お互い納得した上で譲渡が完了します。そのため “「ぽちとたま」に掲載すれば、最期まで責任を持って育ててくれる里親様が見つかる”と思ってもらえる利用者様を増やし、サービス向上に繋げていきたいと考えています。
保護活動をされている方にとって一番辛いのは、里親が見つからないということ。SNSやブログに保護状況をアップしても見てもらえないと譲渡は進みませんし、現実社会の繋がりだけでは限界もあります。
だからこそ、そういった活動をされている方が1日でも早く里親希望者を見つけられるようなプラットフォームを提供していきたいです。サイト内に譲渡誓約書を用意しているのも、そういった想いがあったからです。
―「ぽちとたま」には梅本さんの想いがたくさん詰まっているんですね!
梅本さん:動物たちが1頭でも多く幸せに過ごせる社会になってほしいので、「ぽちとたま」がそのためのひとつの場所になれたら嬉しいです。殺処分を全国的にもゼロにしたいですし、メディアで話題になる動物に関する社会的な問題を解決する手助けもしていけたらよいですね。
■ボランティアをしながらメディア運営
―実際に「ぽちとたま」を立ちあげてみて、周囲からはどんな反響が寄せられていますか?
梅本さん:こういったサービスを提供したいということは以前から口にしていたので、「やっとスタートラインに立ちましたね!」という声を頂きました(笑)。
サービスに協力的な方もいて、これをきっかけに繋がりが生まれたこともあったので良かったなと思っています。ただ、本当にまだまだスタートラインなので、もっと頑張っていきたいです。
―梅本さん自身も、なにか動物保護に関する取り組みをされていますか?
梅本さん:今は「ぽちとたま」の立ち上げを機に繋がることのできた団体様のところで、ボランティアをしています。休日も当然ありませんし、現場の大変さは私たちの比じゃないということを改めて実感しました。
今後も場所を問わず、色々なところで何かしらの協力ができればと思っています。「人手が足りない!」とお声がけしてもらえたら、すぐにお伺いさせていただきますよ。
―近年の「保護犬・保護猫ブーム」に関しては、どんな想いを抱いていますか?
梅本さん:個人的にはブームとは思っていないのですが、テレビやSNS、活動されている方々の影響もあって「里親」という文化が根付きつつあり、選択肢が広がってきたなという印象は受けます。
今後は「里親」という文化が当たり前となって、将来的には「里親」という言葉自体がなくなるほど、保護猫や保護犬を家族にすることが当然のことになってほしいです。
―「里親」という言葉がなくなる社会、理想的ですね! 最後になりますが、今後「ぽちとたま」ではどういった機能やサービスを増やしていきたいと考えていますか?
梅本さん:まずは現在の機能をより使いやすくすることが大事だと考えています。機能を増やすより、特定の機能に絞った上で使いやすいことを重要視していきたいです。ありがたいことに、サービス開始直後から利用者様から多くの意見をいただいているので、少しずつ改善していきたいと思います。
―身よりのないペットが里親を見つけ、幸せになれる社会が当たり前になるように私もできることを頑張っていきたいと思いました。本日はお忙しい中、ありがとうございました!
近年はSNSが普及し、身よりのないペットが里親と出会えるチャンスも増えてきました。しかし、まだまだ殺処分となっている動物は多いです。そんな命をひとつでも多く救うべく奮闘している「ぽちとたま」は、悲しい思いをしている動物や懸命に里親探しをしている方々の希望となるはず。「動物の命を守りたい」と考えている方は一度「ぽちとたま」を見て、自分にできる動物愛護を考えてみてはいかがでしょうか。
<取材協力>
一般社団法人 和(わ)代表理事 梅本さん
里親募集マッチングサイト「ぽちとたま」:https://pochi-tama.or.jp/
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【画像】
※ ぽちとたま
※ LittleElephant,Pathara Buranadilok / Shutterstock
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