「わんにゃ365」の読者から、盲導犬や介助犬、聴導犬といった補助犬の働き方についてご意見をいただきました。そこで、NPO法人 日本補助犬情報センター、公益財団法人 関西盲導犬協会、社会福祉法人 日本介助犬協会、公益社団法人 日本聴導犬推進協会の皆さまに、補助犬の働き方と健康面についてのお話を伺いました。
後編の今回は、「補助犬」の健康面についてご紹介します。"健康面や天候対策はどうしているの? 補助犬の働き方問題を考える~前編~”も合わせてご覧ください。
■補助犬の暑さ対策
夏の暑い時間に、補助犬がユーザーさんと歩いているのを見たことがある方がいるかもしれません。通勤は混雑する時間を避けるなどしているそうですが、どうしても日中に出掛けなくてはならないケースもあるのだとか。
「できるだけ暑い時間には外出しないように、もし出掛けるならタクシーを使うなど、ほとんどの協会が指導しています。補助犬のユーザーさんが出掛ける理由ですが、盲導犬の場合、買い物のためにどうしても……ということもあるようです。
というのも、視覚に障がいのある盲導犬ユーザーさんがスーパーなどで買い物をする場合、お店の人に依頼して商品を探す手伝いをしてもらいます。本来は夕方に買い物をしたくても、お店が混む時間はスーパー側が人手を割けない、お店が空いている時間に来て欲しいと言われることもあるそうです。それにより、日中の暑い時間に外出することになってしまうというわけです。
ネット通販などを活用しているユーザーさんもいますが、不便な場所に住んでいるユーザーさんは自ら出掛けないと買い物ができません」(NPO法人 日本補助犬情報センター)
「ご都合のいい時間にどうぞ」と言ってくれるスーパーが増えればいいのですが、まだまだ補助犬とユーザーさんたちの社会参加がしづらいのが現状なのです。
このように、やむを得ない事情などで暑い時間に外出することもあります。その場合は、補助犬にクールベストや保冷剤が入るウエアなどを着用させ、靴を履かせるなどのケアをされているユーザーさんが多いそうです。
■天候に対しての具体的な対策は?
盲導犬、介助犬、聴導犬の育成やトレーニングなどをしている協会の方に、補助犬の活動環境について伺いました。
盲導犬(公益財団法人関西盲導犬協会)
「盲導犬はユーザーさんにとって、
介助犬(社会福祉法人 日本介助犬協会)
「介助犬の場合、天候が悪かったり、暑かったりするときには、犬を連れて出掛けないという選択肢もあります。ユーザーさんは手足が不自由なこと以外にも、体温調節がうまくできない方も多いので、暑いときはご自身が外に出ることが難しいです。犬に靴や靴下を履かせられないユーザーさんが多く、もし外出ということになっても、犬に負担がないよう、犬は自宅待機という選択をされることもあります」
聴導犬(公益社団法人 日本聴導犬推進協会)
「暑い時期の外出については、盲導犬や介助犬同様、聴導犬も涼しいウエアを着せるなどの工夫をしています。移動は車や電車を心掛け、徒歩での移動も日陰や涼しい建物内での休憩を増やします。また、ときには犬を留守番させることもあります。ユーザーさんにはその場に合わせた対応が自分で出来るように、訓練時にしっかりとアドバイスを行なっています。そうすることで犬への負担を減らせますし、ユーザーさんが自信を持って犬を守れるのです」
補助犬も一般の家庭犬と同じように、夏場は地面を触ることを、それぞれの協会では徹底されているそうです。
ユーザーさんにとって補助犬は、欠かすことのできない大切なパートナーです。だからこそ、犬の健康や衛生面に十分に配慮して、社会参加されています。
街で補助犬と出会ったら、補助犬に話しかけたり、じっと見つめたり、触ったりせず、温かい気持ちで見守りましょう。
<取材協力>
NPO法人 日本補助犬情報センター
公益財団法人 関西盲導犬協会
HP:http://www.kansai-guidedog.jp
社会福祉法人 日本介助犬協会
公益社団法人 日本聴導犬推進協会
HP:http://www.hearingdogjp.org
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