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「同行避難」のために日ごろからできることは?今日からはじめる!ペットの防災対策〜獣医師編~

マルヤマミエコ

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マルヤマミエコ

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「同行避難」のために日ごろからできることは?今日からはじめる!ペットの防災対策〜獣医師編~

昨年は、日本列島に多くの自然災害が発生しました。その度に、飼い主さんたちは大切なわんちゃん・ねこちゃんとの防災について考えていることと思います。今回、『わんにゃ365』では、ドッグトレーナー・獣医師・行政の方々より、ペットの防災対策についてお話を伺いました。本記事では、獣医師さんへ防災へのアドバイスを伺います。

日本では1995年に起きた阪神淡路大震災をきっかけに、ペットの同行避難や動物救護活動に関する話し合いやガイドラインの作成が行われています。しかし、まだまだ広く知られていないのが現状です。 

2019年に大型台風による被害があった千葉県茂原市で動物病院を開業している北森隆士先生に、災害を経験して感じたことや、ペット同行避難の必要性などについて、お話を伺いました。

■獣医師が教える!用意しておきたいペット防災グッズ

「同行避難」のために日ごろからできることは?今日からはじめる!ペットの防災対策〜獣医師編~
出典:https://www.shutterstock.com/

―ペットの防災グッズはあれこれ持って行きたくなってしまいがちですが、必ず準備しておいて欲しいのはどのような物でしょうか?  

北森先生:「犬の場合はリードやハーネス、猫は洗濯ネットが必須です。あとは水、タオル、ペットシーツ、鑑札、ペット手帳、投薬治療をしている場合は薬を1週間分。余裕があればフードを持って行っても良いですが、2〜3日であれば与えてはいけない食材は除き、人の食べ物を与えても問題ないです。避難が長期に渡れば、被災動物のためにペットフードなどの物資が送られてくるでしょう。また、行政によっては、フードを備蓄している場合もあります。ただし、処方食を与えている場合は、持って行くようにしてください。

また、ペットシーツは人のトイレとしても利用できるので、持って行くと良いでしょう。ペットの防災グッズはひとまとめにして、いつでも持ち出せるように準備しておきましょう」

 

■ペットがいることで災害のストレス軽減に

「同行避難」のために日ごろからできることは?今日からはじめる!ペットの防災対策〜獣医師編~
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―災害が起きた際のペット同行避難は、国が推奨しています。とはいえ、家に犬や猫を置いたまま避難する人もいるそうです。しかし、北森先生によると、ペットを連れての避難は、人のためになるのだとか。その理由は何なのでしょうか。

北森先生:「ペットは家族ですから、連れて逃げるのは飼い主さんとしては当たり前のことです。しかしそれだけでなく、ペットは災害におけるストレスの軽減に役立つ存在であることが、論文で発表されています。

東日本大震災における被災者のストレス(PTSD)に関する論文によると、地震直後はペット飼育者のストレスが高かったものの、災害から4年後になると、ペット飼育者のストレスが非飼育者と比べて軽くなったという結果が出ています(※)。

ペットの存在が、災害という過酷で辛い状況を乗り越える力を私たち人にくれることが、この結果からも分かるのではないでしょうか」

 

■避難所はペット同行OKか確認しておこう

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―どこの避難所でもペット同行避難できると思っている飼い主さんがいるようですが、実際にペットを連れて避難所に行ってみたらペットNGだったというケースもあるようです。

北森先生:「避難所の利用を考えている場合は、ペットの同行を許可しているかを事前に確認しておいてください。もしも現場でペットNGと分かった場合は、ペット仲間と連絡を取り合い、ペット同行避難ができる場所を探すことになります。

ただし、避難所が見つからなかったときのことを考えて、所有している車などによる避難生活も視野に入れておくのが良いでしょう。

災害が起きると、普通の生活からいきなりサバイバル生活となります。日ごろからペットを連れたキャンプを行うなどして慣らしておき、いざというときに備えておきましょう」

 

■避難所で足りないのは動物アレルギー対策

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―避難所は不特定多数の人が集まる場所です。そのため、なかには犬や猫のアレルギーを持っていることもあります。飼い主さんがペット同行避難を躊躇する理由の一つが、動物アレルギーを持っている人の存在なのだとか。

北森先生:「避難所に部屋がいくつかあるなら、ペットとアレルギー体質の人は部屋を分ければ解決します。簡単なことですよね。行政が作るペット同行避難のマニュアルに、そういった内容を入れて欲しいですよね。

また、ペット非飼育者の人の中には、ペットが汚れていると感じている清潔志向の人もいるようです。汚れは、水で洗い流せばきれいになるので、そこまで気にする必要はないと思います。

災害時は、生き抜くことが何よりも大事です。ペット飼育者・非飼育者に関係なく、みんなで助け合いましょう」

 

■獣医師としての役割

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―2019年に台風15号と19号を経験した北森先生は、「獣医師としてペットを助けられことがあればやりたい」との思いから、地域の獣医師会に問い合わせたそうです。しかし、ペット救済活動の実態が見えなかったと言います。

「私自身は獣医師会の会員ではないのですが、必要であればどこにでも出掛けて行って診察や治療を行いたいと思い、獣医師会に電話で問い合わせました。しかし、環境省等への働きかけはされているようでしたが、獣医師会自身の強力なリーダーシップの元、システマティックに飼い主に見える形で何かを実施しているというお話はしていただけませんでした。

他県の獣医師会では、災害時にかなりはっきりした体制で、一時預かり場所の設置やボランティア診療をしたケースなどもあると聞いています。

今回はあまりに大きな災害だったとはいえ、災害に対する獣医師会の本気度が足りないのではないかと思います。これは、今後の課題の一つです」

 

災害で被災するのは人だけでなく、ペットも同じです。災害によるペットのケガや身体の不調は、獣医師でなければ診られません。災害時の獣医師の連携については行政が整えて、飼育者に知らせてほしいと思います。また、行政が地域の各獣医師に、獣医師としてのボランティアができないか、連絡を取るなどしても良いと思います。

災害はいつ起こるかわからないからこそ、常日ごろからしっかりと準備をしておきたいものです。

 <取材協力>

獣医師 北森隆士先生

北森ペット病院医師。高度医療機器の導入、各種専門家とのコネクションを生かし、幅広い獣医療ニーズに応えるべく日々格闘中。心臓病や皮膚科の研究に力を入れ、国内はもとより海外へ論文を発信している。『わんにゃ365』やペット雑誌等で、ライター活動も行っている。HP:https://www.kitamori-ac.com/

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【参考】

※ Effect of Pets on Human Behavior and Stress in Disaster Front. Vet. Sci.,

【画像】

※ Roger costa morera,Katsuhiro,Soloviova Liudmyla,Natalie Erhova (summerky),Aleksey Boyko,ChocoPie / Shutterstock

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