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【獣医師執筆】犬猫の急な体調不良…どうしたらいい?覚えておきたい対処方法について

船田治子

獣医師
船田治子

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【獣医師執筆】犬猫の急な体調不良…どうしたらいい?覚えておきたい対処方法について

みなさんは、愛犬や愛猫が夜中に急に具合が悪くなり、ぐったりしてしまったらどうしますか? いざというときは、慌てず冷静に、落ち着いて行動できるといいですよね。

そこで今回は獣医師の船田治子先生に、よく見られる体調不良の症状別に、その原因や一般的な対応について説明いただきました!

■症状・原因・対処法

犬猫の急な体調不良…どうしたらいい?覚えておきたい対処方法について
出典:https://www.shutterstock.com/

(1)下痢・嘔吐

・原因

細菌やウイルス感染症、食物アレルギー、異物の誤飲、中毒、精神的な要因など

・症状と対処法

筆者の経験上、下痢も嘔吐も1回だけで、他の症状がなければ翌日まで様子をみてもよいと思います。下痢と嘔吐を併発する、何度も繰り返す、血液が混じる、ぐったりしているときなどは、すぐに受診しましょう。嘔吐物や下痢便をビニール袋にいれて持っていくと、原因分析・診断の助けになります。

意識がなくて嘔吐するときは、横向きに寝かせましょう。人と同じで、吐いたものが喉につまらないように、顔も下や横に向けだ方が良いでしょう。

(2)けいれん発作

・原因

てんかん、ジステンパー、熱中症、中毒、代謝障害など

・症状と対処法

犬猫が倒れてけいれんを起こしたら、ぶつかると危険なものなどを体から遠ざけて、安全を確保してください。失禁することもあります。顔や体に触られると、無意識に咬むことがありますので、注意してけいれんが収まるのを待ちましょう。

いずれにせよ早めに受診する事が望ましいですが、てんかん発作であれば、一般的には数10秒から数分内にけいれんは収まり、しばらくすると平常の状態に戻りますので、そこまで緊急性が高くない場合もあります。

しかし、他の症状があったり、発作が長引いたり何度も繰り返すようであれば、緊急の受診をおすすめします。けいれんの様子をスマートフォンなどで撮影して獣医師に見せると、診断の助けになります。

(3)ショック

・原因

大出血、心臓病、アレルギー、胃捻転、中毒など

・症状と対処法

ショック状態とは、循環不全を起こし、頻脈、意識や血圧や体温の低下が見られる状態のことを指します。様々な原因から起こりうる状態で、いずれも命に関わります。毛布などに包んで体温の低下を少しでも防ぎ、緊急に受診しましょう。

犬や猫の歯ぐきを指で押すと白っぽくなりますが、指を離して元の色に戻るまでの時間は2秒以内が正常です。それ以上、例えば4秒を越えるようなら危険な状態と言えます(毛細血管再充満時間)。

(4)熱中症

・原因

暑い日に、閉め切った室内や車内で犬や猫を閉じ込めてしまった時など

・症状と対処法

急激に体温が上昇し、ハアハアと口を開けて呼吸します。ショックを起こすこともあります。体を冷やしながら急いで受診しましょう。以前執筆した“室内でも熱中症になる!? 暑い夏「犬の室内飼い」で注意すること”も、ぜひご覧くださいね。

■注意すること

犬猫の急な体調不良…どうしたらいい?覚えておきたい対処方法について
出典:https://www.shutterstock.com/

(1)救急動物病院を調べておく

かかりつけの動物病院の夜間対応の可否を確認しましょう。地域によっては夜間休日専門の救急動物病院も増えてきましたので、インターネットなどで近隣の夜間対応可能な動物病院を調べておきましょう。

(2)飼い主さんが落ち着く

愛犬、愛猫が倒れてしまったら、飼い主さんは動転してしまうかもしれません。今は元気な犬猫でも、緊急事態を想定して対処法を考えてみましょう。飼い主さんが慌てずに落ち着いて行動することは、とても重要です。

犬や猫の具合が、突然悪くなるということは多く見られます。しかし、実はそれ以前から徴候があったという場合もあるように思います。

動物達は体の調子が悪いことを積極的に表現してくれません。「そういえば、数日前から食事を残していた」「最近散歩に行ってもすぐに帰りたがっていた」「よく水を飲むなあと思っていた」など、日常でこのような病気のサインを見つけられるのは飼い主さんだけです。

また、中毒や誤飲、胃捻転、熱中症などは注意すればある程度防ぐことができます。大切な犬や猫のために、毎日の健康チェックをぜひ続けてくださいね。

※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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【参考】

※ 箱崎加奈子監修2014)『最新版 愛犬の病気百科』誠文堂新光社.

【画像】

※ Josep Suria, Ocskay Mark, Josep Suria / Shutterstock

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