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犬の「視力」はどうやって調べるの?視力低下のサインと家庭で試したいセルフチェック

船田治子

獣医師
船田治子

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犬の「視力」はどうやって調べるの?視力低下のサインと家庭で試したいセルフチェック

犬の優れた嗅覚と聴力を生かし、警察犬、麻薬探知犬、災害救助犬などとして活躍している職業犬の存在は、よく知られていると思います。では、視力についてはどうでしょうか? 犬の視力について、また家庭でできる犬の視力検査を確認する方法について紹介いたします。 

■犬の目の構造

犬の「視力」はどうやって調べるの?視力低下のサインと家庭で試したいセルフチェック
出典:https://www.shutterstock.com/

犬の目は、機能的には人の目によく似ていますが、構造的な違いがみられます。

・水晶体の厚さ

人の場合、水晶体は約4mmの厚さがあります。犬では約8mmの厚さで、柔軟性に欠けています。人は近距離で10cmくらいまでは焦点を合わせることができますが、犬は1メートル以内に焦点を合わせることは困難であり、一般的に近視であると言われています。

・目の位置

人の目は顔の正面にあるので、周辺視野は最大約210度です。犬種にもよりますが、犬の目は人よりも側方にあるため、周辺視野は最大250290度になります。

・タペタム(輝膜)の存在

犬の網膜の後ろに反射細胞が層を成している部分があり、タペタムと呼んでいます。人にはありません。目に入る弱い光を反射増幅して、犬はうす暗いところでも獲物を見て捕らえることができます。夜に犬の目が黄緑色に光るのは、この層が引き起こすもので「タペタム反射」と言います。

■視力低下の原因は?

犬の「視力」はどうやって調べるの?視力低下のサインと家庭で試したいセルフチェック
出典:https://www.shutterstock.com/

さまざまな眼疾患のほか全身性の疾病が原因で、視力の低下や失明を起こすことがあります。

代表的な眼疾患は、白内障、緑内障、角膜疾患、網膜疾患などです。また、脳神経系や内分泌系の全身疾患の他、遺伝性のもの、老齢化が関係していることもあります。

 

■視力低下のサイン

犬の視力は、人と比べて評価しにくいと言えます。犬は自分の縄張りについてはよく記憶しているため、環境の変化がなければ視力が低下しても、飼い主さんが気づかないこともあるでしょう。徐々に進行する視力低下や片目のみの場合は、さらに分かりにくいと思います。

日常生活の中で気づきやすい症状としては、次のような例があげられます。

・段差の上り下りをためらう。

・転居や家具の配置換えで、物にぶつかるようになる。

・散歩のコースを変えると、電柱や障害物にぶつかることがある。

・障害物があると、いつも以上に臭いを嗅いで確かめようとする。

■家庭でできる視力確認方法

犬の「視力」はどうやって調べるの?視力低下のサインと家庭で試したいセルフチェック
出典:イソップ動物病院

視力低下の症状がある場合に、家庭でできる視力確認の方法をご紹介します。 

・視力確認方法の例1

室内の家具の配置を変えたり、通路に障害物を置いたりして、犬が上手く避けて歩くことができるか観察しましょう。明るい室内とうす暗い室内で行うことや、片目を隠しながらの検査ができれば、失明の程度や、視力低下が起きているのは片側か両側かなどが分かるでしょう。

・視力確認方法の例2

脱脂綿の一片を、片目ごとの視野の中で上から落とします。視力があれば犬はその動きを目で追います。重さのあるものは音がしたり、風圧で気づいたりしてしまいますので、視力検査には不適当です。

 

■視力低下した場合の対処法

・病院での治療を行う

犬の視力低下が疑われたら、動物病院を受診しましょう。視力の回復が困難なこともありますが、治療によって視力を取り戻せる場合もあります。

・生活環境を整え 安全に配慮する

室内の段差や障害物を減らし、家具の配置換えを極力控え、以前と変わらない環境作りをしてあげましょう。また、安全な散歩コースを選ぶなど、犬の生活環境を整えましょう。

・毎日の活力を与え続ける

無理なくできる遊びや散歩を続けることで、犬は生活の楽しみを失わずに済むでしょう。

 

目は顔の表面にあり、その異常は発見しやすいと思います。しかし、視力は人のように測定ができませんので、犬の日常行動をよく観察しましょう。視力低下を疑う時は、早めに動物病院を受診して下さいね。

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※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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【参考】

※1 林良博監修(2000)『イラストでみる犬学』講談社

※2 林谷秀樹ほか(2009)『人が学ぶ イヌの知恵』東京農工大学出版会 

※3 Simon M Petersen-Jonesほか著 印牧信行訳(1996)『小動物の眼科学マニュアル』学窓社

【画像】

※ Nicolae Cirmu,ArlanJace,De Jongh Photography / Shutterstock

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