「小型犬は骨が弱いのでしょうか?」と飼い主さんに聞かれたことがあります。骨が弱いとは、つまり骨折を起こす可能性が高いという意味合いになります。今回は、骨折しやすい犬種、また骨折の要因などについて、さまざまな角度から見ていきたいと思います。
■骨折の症状
犬は骨折をすると、通常と違う動きをします。このように分かりやすいサインを出しているケースが圧倒的に多いので、飼い主さんは気づきやすいでしょう。しかし、骨折の部位によっては、痛みに強い個体であれば症状が出ないことも考えられます。
・四肢の骨折の場合
骨折した足をぶらぶらさせ、挙上している。
・四肢の指や足先などの細い骨の骨折の場合
四肢をケンケンしている場合もあります。
・頚椎の場合
最悪呼吸状態も悪く死に至りますが、首より下に障害が出るため横たわっている状態になります。
・腰椎の場合
後ろ足などに力が入らないため、排便排尿障害も起き、立ち上がれません。
■骨折を起こしやすい犬種
一般的に、骨折を起こしやすいと言われているのは下記の犬種になります。やはり骨が細い犬種が多いように筆者は感じています。
・イタリアン・グレーハウンド
・ポメラニアン
・トイプードル
・パピヨン
・ミニチュアピンシャー
■骨折を起こす原因
では、骨折となってしまう原因を見ていきたいと思います。
・外的要因による衝撃によるもの
交通事故など、外的要因による衝撃を受けたときに骨折に繋がります。
・飼い主さんの不注意によるもの
飼い主さんが抱っこをした際、不注意で落とし骨折となってしまったケース、足元に愛犬がいるのに気付かず踏んでしまったケース、飼い主さんがドアに挟んでしまい骨折になってしまったというケースも見受けられます。
・基礎疾患によるもの
生まれつきの基礎疾患により、骨が弱っているケースもあります。たとえば、内分泌疾患によりカルシウムの骨への比率が少なくなっているケースや、ミネラルなどを保有する器官が機能低下を起こしているケースは、骨折しやすくなる可能性があります。
■普段からできる予防策
・外的要因は、基本は事故が多いため防ぐのは難しいですが、ベッドなどの高い場所には乗せないようにしましょう。
・抱っこする際、犬は驚くと突然力を入れて降りようとしてしまいます。愛犬の性格などを考慮して、移動する場合はキャリーバッグなどに入れてあげましょう。
・骨が弱くなる疾患がある場合には、やはり基礎疾患の治療が必要になるため、定期的な健康診断を行い、疾患がないか、ミネラル異常はないかを確認してあげましょう。
・”骨にはカルシウムが必要”とよく聞きますが、大事なことはミネラルバランスです。カルシウムばかりを摂取させず、バランスのよい食事を取ることをおすすめします。
骨折は、日頃の予防と対策が大切です。基礎疾患であっても、飼い主さんの配慮でずいぶん変わるはずですので、できることから始めてみてくださいね。
※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。
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