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犬が吐いた!すぐに受診したい緊急性のある症状と家庭でできる対処法

高橋身和

獣医師
高橋身和

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犬が吐いた!すぐに受診したい緊急性のある症状と家庭でできる対処法

愛犬が吐いたとき、動物病院に連れていった方がいいのか迷った経験のある飼い主さんも多いのではないでしょうか? 今回は、嘔吐から考えられる原因や、動物病院に受診していただきたい症状の紹介、そして筆者が通常飼い主さんにご説明しているおうちで出来る簡単な対処法についてお伝えします。

■嘔吐を引き起こす主な原因

犬が吐いたけど大丈夫?すぐに受診したい緊急性のある症状と家庭でできる対処法
出典:https://www.shutterstock.com/

嘔吐はさまざまな病気の症状としても出てくるので全てを挙げることは出来ませんが、嘔吐を引き起こす主な原因を紹介します。

(1)消化器の病気

・胃腸炎

・膵炎

・腸閉塞 

・胃捻転 など

(2)感染症

・犬パルボウイルス感染症

・犬ジステンパーウイルス感染症

・レプトスピラ感染症

・犬コロナウイルス感染症

・伝染性肝炎 

・消化管寄生虫症(特に子犬) など

(3)全身、他の臓器の病気

・腎不全

・肝不全

・脳炎

・前庭疾患

・アジソン病

・アレルギー

・熱中症 など 

(4)その他の考えられる原因

・フードの変更

・環境の変化によるストレス

・車酔い

・食べ過ぎ

・水のがぶ飲み

・空腹

・薬の副作用 

・異物・中毒物の摂取

 

■早めの受診を検討する症状5つ

犬が吐いたけど大丈夫?すぐに受診したい緊急性のある症状と家庭でできる対処法
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上記のように、嘔吐にはたくさんの原因が考えられます。動物病院に行く指標として、飼い主さんに聞かれたときには下記の5つの症状がないか確認するように説明しています。もちろん体の不調が把握できる症状はこれらだけではありませんが、1つでも当てはまるようなら、早めの受診をおすすめします。 

(1)1日に3回以上吐く

(2)食欲がない

(3)お腹が痛そうに猫背になっていて元気がない

(4)口からよだれをたらしている

(5)下痢をしている

下痢を併発していたり、繰り返し吐いてしまう・水を飲んでも吐いたりしてしまうようなら、脱水が心配されます。この場合は特に、ご家庭で様子を見ずに受診してくださいね。

 

■緊急的に受診をおすすめする症状5つ

犬が吐いたけど大丈夫?すぐに受診したい緊急性のある症状と家庭でできる対処法
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これらの症状は緊急度が高い可能性があり、筆者の私見としてすぐに受診することをおすすめしています。

(1)ぐったりしている

横になったままじっとしている場合は、緊急性が高い可能性があります。

(2)吐く仕草をしているのに吐けない

頻繁に吐く仕草をしているのに吐けない場合は、胃捻転などすぐに命に関わる病気の可能性があります。

(3)歯茎や舌の色が白っぽかったり紫がかったりしている

歯茎の色は血圧などの指標になります。色がピンクでない場合は、緊急性が高い可能性があります。

(4)白目、歯茎が黄色い・尿の色がいつもよりかなり黄色い

尿が濃黄色になったり、白目が黄色くなったりする黄疸症状が出ている場合は、肝臓の病気やレプトスピラ感染症の可能性があり受診が必要です。

(5)ワクチンが終わっていない子犬が、ひどい嘔吐と血便をしている

ワクチンが終わっていない子犬がひどい血便や嘔吐を起こしている場合は、命に関わる感染症の可能性があり受診が必要です。ワクチンを接種していないわんちゃんが近くにいる場合は、感染させてしまう可能性があるので、すぐにかかりつけの動物病院さんに消毒等詳しい対応方法を聞きましょう。

 

■症状に関わらず受診を検討した方が良い場合

犬が吐いたけど大丈夫?すぐに受診したい緊急性のある症状と家庭でできる対処法
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(1)子犬・シニア犬

子犬やシニア犬は脱水しやすく、脱水を起こした場合命に関わる事もあります。特にシニアの子は、単純な胃腸炎からの嘔吐でも、そこからの脱水が原因で腎不全などその他臓器の機能不全を起こし、1日~2日で危険な状態になることもあります。食欲も落ちている場合は、あまり様子を見ずに早めの受診を検討しましょう!

(2)一日の嘔吐の回数は多くないが、一週間以上ずっと吐いている

症状が激しくなくても、しばらく続く嘔吐の場合は病気が隠れている可能性もあります。

(3)中毒物や異物を食べてしまってから嘔吐がある

中毒物や異物を食べてしまってからの嘔吐は、状態が急変することもあります。心当たりがある場合は受診を検討しましょう。

 

■自宅で出来る簡単な対処法

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(1)水分補給

吐いている時は脱水を起こしやすいので、いつものフードをふやかして与えてみましょう。ふやかす事で、フードと同時に水分をとる事が出来ます。また同じ理由でウエットフードも効果的です。

(2)胃腸を休ませる

嘔吐の時はフードを少量頻回で与え、量も1日の半分ほどに減らすことがおすすめです。吐き気に気を付けながら、量や回数を調節しましょう。

痩せている子・体格の小さい子・子犬の場合は、嘔吐によって低血糖を起こす可能性もあります。一度に与える量を減らし、12時間して嘔吐がなければまた少し与える等、様子を見ながら頻回にフードを与えましょう。いつものフード量の半分以下しか食べられないようなら、緊急的に砂糖水やガムシロップなどを飲ませて早めに受診しましょう。この際、無理に飲ませると誤嚥(ごえん)の危険があるので、もし鼻に近づけても飲まないようなら、指でやさしく歯茎に塗りつけてあげましょう。

嘔吐はよく見られる症状ですが、深刻な病気が隠れていたり、単純な原因からの嘔吐でも脱水により重大な病気に繋がる事もあったりします。

愛犬の様子、持病などによっては対応が変わってくる事もありますので、以上を参考にしながら少しでも不安があればかかりつけの獣医師さんに相談しましょう。

※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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