わんにゃの健康と病気

愛犬や愛猫の未来のリスクに備える!ペットの「遺伝子検査」を実際にやってみた

古川諭香

愛玩動物飼養管理士・キャットケアスぺシャリスト
古川諭香

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愛犬や愛猫の未来のリスクに備える!ペットの「遺伝子検査」を実際にやってみた

健康維持に日頃から力を注いでいる飼い主さんは多いものですが、これからは「遺伝子」に着目し、健康を守っていくことも大切。実は、特定の犬種や猫種には、遺伝子の異常による「遺伝性疾患」が発症するリスクがあります。遺伝性疾患の中には最終的に失明に至る眼病や、歩行困難となって死に至る病もあるそう。そんな遺伝性疾患リスクを早期に知れるサービスを行っているのが、株式会社Pontely(ポンテリー)。

株式会社Pontelyではペットショップやブリーダー、一般家庭の犬・猫への遺伝性疾患検査サービスを展開中。今回は詳しいお話しを伺い、実際に遺伝子検査キットで愛猫の健康リスクも調べていただきました。

■見た目のかわいさだけでなく健康面も理解して家族になろう

愛犬や愛猫の未来のリスクに備える!ペットの「遺伝子検査」を実際にやってみた
出典:https://www.shutterstock.com/

―本日は宜しくお願いします。はじめに、このような「遺伝子検査」サービスを思いついたきっかけを教えてください。

pontely.jpg篠原さん:サービス開始のきっかけは、弊社の代表がわんちゃんを迎えようと思ったことでした。代表は過去に遺伝性疾患のわんちゃんを飼育した経験があったため、かわいいだけでなく健康面にも目を向けて情報を集めていました。しかし、遺伝性疾患の研究やIT技術が発達してきているにも関わらず、最新の研究や技術を取り入れているブリーダーさんやショップさんがまだ少ない現状に衝撃を受けました。

「何かできることはないか?」そう考えた時に思いついたのが、遺伝子検査でした。ペットを迎え入れる時にもし遺伝子検査ができたら、飼い主さんがペットの事をより深く理解でき安心して家族になれると思い、サービスを開始しました。

―サービスは、いつから開始されているのでしょうか。

pontely.jpg篠原さん:ペットショップやブリーダー向けの販売前子犬検査サービスは2018年の8月末から、一般家庭に向けては201811月末から開始しております。

―これまでに、ペットショップ・ブリーダーからはどんな反響が寄せられましたか。

pontely.jpg篠原さん:「検査を行うことで安心して購入してもらえる」「ブリーディングする際に遺伝性疾患のリスクを考えることができる」という声を頂いています。 

―御社のサービスでは、純血種以外でも遺伝子検査から将来のリスクを予測することはできるのでしょうか。

pontely.jpg篠原さん:純血種であっても犬種・猫種によって遺伝性疾患の発症可能性や、同じ遺伝性疾患でも原因遺伝子が異なります。そのため、混血種の遺伝子検査を行うこと自体は可能ですが、その結果に関わらず発症するかは不明というのが実状となります。

ただし、今後、遺伝性疾患の研究が進歩するにつれ、弊社で取り扱う対象犬種・猫種や対象疾患を増やしていきたいと考えております。 

―遺伝子検査は、心の準備をしながら万が一の事態に備えられるところが魅力ですね。

pontely.jpg篠原さん:ペットを迎えるために大事な観点は見た目以外にも色々あり、そのひとつに健康があると弊社では考え、サービスを提供しております。

ペットを迎えた後でも、家族の一員であるペットのことをより深く知るためのツールとして、またペットと人の共生に役立つよう、今後もさまざまなサービスを提供していけたらと思っています。

―ペットの幸せな生涯を守ることにも繋がる遺伝子検査は今後、ますます注目されそうですね! 今回は、お忙しいなかありがとうございました!

 

■遺伝子検査サービス「Pontely」をやってみた

百聞は一見にしかず……ということで、筆者も実際に愛猫の遺伝子検査を頼んでみることに。検査を受けるにはまず、HPから遺伝子検査キットを注文。

HP上でペットの名前を入力し、品種名を選択すると、検査対象となる疾患が自動的に表示されます。

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出典:わんにゃ365

調査対象となる疾患は論文や獣医師との相談により決定されているため、犬種や猫種によって異なります。我が家の愛猫はマンチカンであるため、「多発性嚢胞腎」が調査対象でした。

申し込みが終わると、確認メールと遺伝子検査の結果が見られるマイページの開設メールが届きます。マイページには24時間以内にアクセスし、パスワードを設定。その後、愛猫の画像をアップロードし、検査終了後に届く認定証の色を緑、青、オレンジ、ピンク、黄緑の中から選びます。筆者は、オレンジにしました。

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出典:わんにゃ365

キットは入金後に発送。返信用封筒と共にかわいらしい箱に入れられ、届きます。

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出典:わんにゃ365
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出典:わんにゃ365

キットが届いたら綿棒を口の中に入れ、頬の裏あたりをこすり、口腔内粘膜を採取。その後、採取済み綿棒を返信用封筒に入れ、返送。検査結果が出るまでの期間は、最大2週間。結果が出ると検査の終了を知らせる報告メールが届き、「検査結果証」が送られてきます。

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出典:わんにゃ365

送られてくる「検査結果証」はカードになっており、QRコードから結果を確認することが可能。

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出典:わんにゃ365

QRコードを読み込むと、申込時に作成したマイページに繋がります。

遺伝子検査では遺伝子病の原因遺伝子を持つ数ごとに、「クリア(ノーマル)」「キャリア」「アフェクテッド」の3段階が分かり、それにより遺伝性疾患が発症する可能性がはじき出されます。

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出典:わんにゃ365

遺伝性疾患は両親またはそのどちらかから受け継ぐものであるため、両親ともに遺伝性疾患が発症する遺伝子を持っていない場合は「クリア(ノーマル)」となります。一方、遺伝子病の原因遺伝子をひとつ持っている子は「キャリア」、遺伝子病の原因遺伝子を2つ持っており発症する可能性が高い子は「アフェクテッド」と言われます。

我が家の愛猫の場合は「クリア(ノーマル)」。マンチカンが発症しやすいとされているPKD1起因による「多発性嚢胞腎(PKD)」は発症しないとされています。

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出典:わんにゃ365

検査結果には、獣医師が監修した病気の概要と対策・予防法、根拠とした学術論文も記載されているのも嬉しいポイント。

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出典:わんにゃ365

見た目で分かる異常は日頃から気にかけられますが、遺伝子に着目したケアをしていくことは自分の力だけでは不可能。だからこそ、自力ではできない健康チェックを行ってもらえ、心強く思えました。

気になる方はぜひ愛犬・愛猫の遺伝子を詳しく検査し、未来のリスクに備えてみてください。

 

<取材協力>

株式会社Pontely

HP:https://www.pontely.com/home

※ 本記事で紹介している遺伝子検査は、遺伝性疾患において、保有因子の有無を判断いたします。検査結果の正確性または完全性を保証するものではありません。
※ 遺伝子検査の結果は、犬/猫の健康に関わると、各研究機関および学会などに報告されている特定の遺伝子の 特定領域の塩基変異検査しタイプを判定いたします。その検査結果の病原性、健康状態、および検査の正確性または完全性を保証するものではありません。
※ 検査対象の遺伝子の構造、役割や健康への影響などの科学的知見は、研究の進展により変更されることがあります。

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