冬になると愛犬がお腹を壊しやすくなる……そんな印象を、飼い主の皆さんはお持ちでしょうか? 実は寒いことと、犬がお腹を壊しやすくなることとの因果関係は大変低いと考えられます。
今回は、冬に見られる犬の下痢についてお話したいと思います。
■寒い時期に見られる犬の下痢の原因について
季節を問わずお腹がデリケートな犬も中には見られると思いますが、冬に限定してお腹を壊す場合にはどのような原因が想像できるでしょうか?
・食べるものが変わる
年末年始はクリスマス、お正月とイベントが目白押しですね。私たちもこの時期になると、ちょっと贅沢な食べ物がテーブルに乗る機会が増えてくると思います。犬用のクリスマスケーキやおせちも定番になっていますね。飼い主さんのおいしい食事をおすそわけしてもらえる場合もあるのではないでしょうか?
また、バレンタインの季節にはチョコレートを誤って食べてしまい、病院に駆け込んでくるケースも見られます。
このような日ごろ食べないものを多く摂取させてしまうことで、腸のバランスが崩れ下痢になることが考えられます。
・ご家族のスケジュールや犬の置かれる環境が変わる
冬の季節は飼い主さんと実家に帰省したり、飼い主さんのスケジュールがいつもと異なったりと、環境の変化がストレスになる場合が多いと感じます。そこから来るストレスが原因で、下痢になることが考えられます。
・ウイルス、細菌、寄生虫などの感染症
多くの犬が、混合ワクチンや予防薬を接種することで、ウイルスや細菌性の感染症にかかることを予防できているかと思いますが、抵抗力が低下している場合は感染してしまうこともあります。便の回数、色、血液が混ざっているかなど確認し、症状に改善が見られなければ動物病院で診察をしてもらうことが大切です。
■病院に連れていくべき指標は?
筆者の動物病院の患者さんで、下痢が定期的に見られたケースがありました。腹痛もあったようで、「ウ~~」と苦しそうに唸りながら、お腹を丸めてじっとうずくまる姿が1日に何回か見られました。食事を完食することができない日々が続き、体重も減ってしまったとのこと。病院に連れて行き精密検査を受け、腸に腫瘤が複数見つかりました。
成犬であっても、下痢以外に痛み、嘔吐、発熱、倦怠感、震えなど多数の症状が見られる場合は病院にすぐに連れていくことをおすすめします。ほかの病気が隠れている可能性があります。
犬は私たちが想像する以上に、飼い主さんや環境の変化に敏感な動物です。そしてストレスが関与する下痢も意外と多いことが分かっています。
いつもと異なる場所や遠い場所に一緒におでかけする場合は、近くの動物病院の場所を事前に調べておくと安心です。
※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。
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