※2020年12月17日情報更新
オオカミは広い野山で仲間と交信するために、遠吠えをすることが知られています。わんちゃんは1万数千年前にアジアで、オオカミを祖先としながら家畜化されたと考えられています。最近の遺伝学的研究では、柴犬やアジアの在来種は洋犬よりも更にオオカミに近いことがわかりました。
しかし、すべてのわんちゃんが遠吠えをするわけではありません。小型犬よりも中型犬、大型犬によくみられます。そこで今回は、わんちゃんが朝に遠吠えや無駄吠えをする理由と対策について説明します。
■音に反応
外の音、例えばよそのわんちゃんの鳴き声や緊急自動車のサイレンに反応することがあります。
<対策>
わんちゃんを寝かせるのは、音が聞こえにくい場所を選びましょう。庭で生活している場合は、夜だけ玄関に入れます。玄関ドアや窓の近くで寝ているわんちゃんは、音の刺激を受けにくい場所や部屋に移しましょう。厚めのカーテンの使用もおすすめですよ。
■要求鳴き
わんちゃんが鳴いた時に何かしてあげていませんか? 鳴くと飼い主さんがやってきて声をかけてもらえる、食事がもらえる、散歩に連れて行ってもらえるなど、鳴けば良いことがあると学習しているパターンです。
<対策>
わんちゃんが鳴いても、要求を叶えてあげるのはやめましょう。鳴いている時は原則として目もあわさず、無視することが重要です。鳴き止んでから要求を叶えてあげるようにしましょう。
お腹が空いて食事を要求する場合は、1日分の食事量を守りながら夜遅くにも1回フードを与えましょう。散歩を要求する場合は、夕方の散歩時間を遅くしたり長くしたりしてみましょう。散歩が無理であれば、たっぷり遊んであげましょう。疲れた日はよく眠ります。
朝のわんちゃんの食事や散歩の時間は、飼い主さんの生活パターンに合わせないと、飼い主さんのストレスが高まってしまいます。対策を講じながら、少しずつ都合の良い時間に合わせていきましょう。
■子犬の場合
連れてきたばかりの子犬は、母犬や兄弟犬と別れた寂しさ、環境の変化に対する不安から夜鳴きをすることがあります。
<対策>
数日間は鳴いても相手をしないのが基本です。いつかはおさまります。さみしがりやの子犬の場合、寝室にサークルやクレートを移動して、飼い主さんの足元で寝かせると安心することもあります。
■高齢犬の場合
高齢になってから突然夜鳴きや遠吠えをするようになった場合、認知症の初期症状かもしれません。しつけだけの問題ではありませんので、改善するのが困難なケースもみられます。
<対策>
高齢犬は日中眠っている時間が長くなりがちです。なるべくわんちゃんに声をかけたり、体に触れたりしてコミュニケーションを取りましょう。散歩に行けるようなら、無理のない範囲で外に連れ出したり、庭で過ごしたりする時間をつくりましょう。良い睡眠を得るためには、日中の適度な刺激も重要です。
上手くいかない場合は薬を内服させることもあります。かかりつけの獣医師に相談してみましょう。
いかがですか?
わんちゃんと生活するうえで、わんちゃんがコミュニケーション手段として鳴いたり吠えたりするのは、自然なことと理解しましょう。“無駄吠え”という言葉は、あくまで人の考えであり、わんちゃんにとってはいつも理由があって鳴いたり吠えたりしているのです。
しかし深夜や早朝に鳴いたりすると、近所迷惑になったり家族が寝不足になってしまいますね。わんちゃんを叱るのではなく、なぜ鳴くのか考えてその対策を講じましょう。
人とわんちゃんのお互いのストレスを減らし、より良い関係を築いてわんちゃんとの生活を楽しみましょう!
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【参考】
※ 森裕司・竹内ゆかり・南佳子著(2012)『動物行動学』インターズー
※ 愛犬の友編集部(2012)『気になる犬のむだ吠えを直す』誠文堂新光社
【画像】
※ BIGANDT.COM, Gladskikh Tatiana, RazoomGame, Steve Bruckmann, Angyalosi Beata / Shutterstock
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みんなのコメント
まっちゃん
わたしが帰宅して興奮しまっくってるワンちゃんに「ワォーン」て叫び続けると一緒に遠吠えしてくれます^
6年前
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