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犬の「生理」いつ始まるの?知っておきたい基礎知識&対処法

菊池亜都子

獣医師
菊池亜都子

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犬の「生理」いつ始まるの?知っておきたい基礎知識&対処法

避妊をしていない女の子のわんちゃんには発情周期というものがあり、その時期になると、人の生理のような出血(正式には発情出血と言います)がみられます。

わんちゃんのこの出血は、人の月経(生理)と同じものと思われがちですが、実は人とは違うメカニズムで起こります。そこで今回は、わんちゃんの生理についてのメカニズムやケアなどについて解説していきます。

■女の子の生理は何歳から始まるの?どのくらいの頻度で訪れる?

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女の子の場合、生後6か月齢から1歳齢くらいに性成熟(妊娠できる状態になること)を迎えます。もちろん犬種や個体によって差はありますが、一般に小型犬は大型犬に比べて早く性成熟を迎えます。

性成熟を迎えたわんちゃんは、発情(交配のために男の子を受け入れる状態)を周期的に繰り返し、その一時期に、陰部から血の混じった粘液が出てきます。これが、いわゆる発情出血というものです。

発情は6~10ヵ月間隔で繰り返されますが、この期間も個体や年齢によって差がみられ、一般に小型犬では短く、大型犬では長い傾向にあります。つまり、1年に1~2回発情が訪れるということになります。

 

■生理と発情期の関係

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わんちゃんの発情周期は、発情前期、発情期、発情休止期、無発情期の4つに分けられますが、生理出血がみられるのは発情期の前の段階である発情前期です。

発情前期は、陰部が赤く腫れ上がり、血液の混じった粘液が出て来ることでスタートします。その持続日数は、わんちゃんによってかなりの幅があり、3日で終わる子もいれば、1か月近く続く子もいますが、平均で8日間です。

出血の量もわんちゃんによってかなりの幅がありますが、年齢とともに減少する傾向があります。また、出血がまったくみられない子もいます。

この時期は、落ち着きがなくなり、水を飲む量やおしっこをする回数が多くなります。また、陰部からの分泌物に含まれるフェロモンによって男の子のわんちゃんが寄ってくるようになりますが、この時期は男の子を受け入れようとはしません。

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発情前期が終わると発情期に入りますが、この時期は男の子のわんちゃんに交尾を許す時期で、女の子は男の子が近づくと立ち止まり、4本の足を踏ん張ってしっぽを上げて、そのしっぽを左右どちらかにずらすという行動を取ります。

その持続日数は平均10日間ですが、これもわんちゃんによって大きな幅があります。排卵は発情期の初期に起こります。

人は排卵すると子宮内膜が厚くなって妊娠のための準備を行います。そして、妊娠が成立しなかった場合は、この厚くなった子宮内膜が剥がれ落ちて、膣から血液とともに流れ出てきます。これが月経(生理)と呼ばれるものです。

一方わんちゃんの場合は、発情の前に子宮内膜の血管がいちじるしく発達し、それによって血液が血管から滲み出ることで陰部から出血が起こります。つまり、排卵前にみられるわんちゃんの生理と、排卵後にみられる人の生理はメカニズムがまったく違うのです。

 

■生理中はどうケアしてあげる?

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わんちゃんの生理中は、行動面でも普段とは違う様子がみられます。前述のように落ち着きがなくなることが多いのですが、わんちゃんによっては散歩に行きたがらなくなる子もいます。そんな時は無理して散歩に行かず、家でゆっくり過ごさせてあげましょう。

散歩に行きたがるようであれば行ってもかまいませんが、生理中はその匂いによって男の子のわんちゃんが興奮してしまうため、生理用のパンツを穿かせてあげて、できるだけ他のわんちゃんに会わない時間帯やコースを選んで散歩に連れて行きましょう。生理用のパンツは蒸れやすいので、清潔を心がけ、着けっぱなしにはしないよう気をつけてください。

生理中だけでなく、発情中も対応は基本的に同じですが、特に発情中は女の子も積極的になるので、男の子のわんちゃんの姿を見かけるだけで、突然道路を飛び出してしまうこともあります。思わぬ事故や望まない妊娠を避けるためにも、散歩時間や散歩コースなどには細心の注意を払いましょう。

 

■妊娠を望まないなら…

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もしも、わんちゃんの妊娠を望まないのであれば、できれば避妊手術をおすすめします。その理由は次のとおりです。

まず、避妊をすることによって、発症を予防できる病気があります。代表的なものが、子宮蓄膿症と乳腺腫瘍です。どちらの病気も中~高齢のわんちゃんでの発症が多く、命にかかわる重篤な病気です。治療には手術が必要になることが多いため、高齢のわんちゃんにとっては大きな負担がかかってしまいます。

そして、発情はわんちゃんの肉体や精神にさまざまな変化をもたらします。代表的なものが偽妊娠です。わんちゃんは妊娠が成立すれば、2ヶ月程度で出産をし、子育てを始めますが、偽妊娠を起こしているわんちゃんでは、実際に妊娠をしていないにもかかわらず、妊娠した時と同じように乳腺が張り、乳汁が分泌されることがあります。他にも食欲がなくなる、攻撃的になる、子育て行動をするといった行動の変化がみられることがあります。

 

これらの問題は、避妊をすることによって防ぐことができます。しかし、避妊手術のデメリット(手術自体の危険性や太りやすくなるなど)も当然ありますので、動物病院の先生ともよく相談して、わんちゃんができるだけ快適に過ごせるようケアしてあげましょう。

 

※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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【参考】

※ 中尾敏彦・津曲茂久・片桐成二編(2012)『獣医繁殖学 第4版』文永堂出版

【画像】

※ violetblue, eva_blanco, sanjagrujic, anetapics, Smit, Jaromir Chalabala, Maila Facchini / Shutterstock

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