※2020年8月11日情報更新
暑い時期が続くと、愛犬にサマーカット(長毛の毛を全身的に短くすること)をさせる飼い主さんがいらっしゃいますが、実はよく注意点を理解してから行う必要があります。
見た目的に涼しいように見えていることは事実ですが、実際に愛犬にとって問題はないのか見ていきましょう。
■犬の皮膚はとても薄い

わんちゃんの皮膚はとても薄く、その皮膚を守るため、人の15倍の密度と言われるほどの毛が生えています。夏の散歩では、太陽に当たらないようにする散歩は不可能に近いですから、皮膚が露出しやすいサマーカットをしていることで、虫刺され等が増えてしまうことが考えられます。
■毛が外部寄生虫から守っている

毛が密に生えていることのもう一つの利点として、ノミ、マダニなどから皮膚を守っていることが挙げられます。夏にはフィラリア症などを媒介する蚊からも守っています。
サマーカットにすることで、皮膚への外部刺激が増えてしまうことが考えられるのです。
■サマーカットを行なった後のデメリット

長毛の子が短毛にすることで、毛質が変わる可能性があります。特に、バリカンなどによる刺激は皮膚への刺激も加わりますし、毛質が変わると言われています。
また、犬種やバリカン部分によっては、毛が伸びない部分も出来てしまいます。原因は分かっていませんが、腹部などは特に短いままになってしまうことがあるようです。
■生え変わりによる調整で十分?

夏、特に長毛の子は、毛がたくさん抜け落ちることでしょう。生理的にも体は夏の時期、毛の量を減らしていることが分かります。毛量が少なくなれば、通気性も良くなり、サマーカットにする必要もなくなるのではと筆者は考えています。
■夏場のカットで大事なこと

適切なサマーカットをすることで、見た目は涼しく見え、お手入れは楽になるかもしれませんが、その他の点ではどうでしょうか。日光による刺激の増加や、マダニによるSFTS、蚊によるフィラリア症など、命に関わる病気に罹患しやすくなっては元も子もないのではないでしょうか。
上記したデメリットがあることからも、業界的にサマーカットは否定的になりつつあるように感じています。
毛を短くすることで、確かに通気性が良くなり体感温度は下がることは事実でしょう。しかし、毛があることのメリットも十分理解する必要があります。
夏の日はカットの他にできる対策、たとえば、散歩の時間、水分補給、体温上昇を防ぐグッズの活用も検討してみてくださいね。
※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。
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