ねこちゃんのしっぽは、実はとってもおしゃべり。表情豊かなしっぽの動きは、主に「3つの感情」に分けられ、私たちも読み取ることができるんです。
今回は、ねこちゃんのしっぽから分かるとされている感情表現について、獣医行動診療科認定医の筆者がパターン別に紹介いたします。
■1:ご機嫌なしっぽ
(1)上向きで垂直
しっぽを上にピンと上げている状況は、親しみを持ち、不安を感じていない行動になります。少し揺れているのであれば、特別喜んでいる証拠です。わが家のねこちゃんは、トレーニングをするとき、犬のようにしっぽを高く上げて右に左に振っています。ご機嫌な状況だといえます。
(2)巻きつけてくる
飼い主さんの足や腕に巻きつけてくるのは、高い愛情表現を示しています。帰宅時などに、大好きな飼い主さんに対してスリスリしながら巻きついてくるしっぽは、大好きの合図なのでしょう。
■2:少し不安や葛藤を示しているしっぽ
(1)しっぽが低い位置にあり、先がピクッと動く
しっぽの先がわずかに動いているときは、何かを考えている証拠です。ひっきりなしにピクッと動かしているときは、とても用心深くなっているときです。何か気になる対象物が近くにいる可能性もありますので、あまり刺激しない方がよいでしょう。
(2)たたきつけている
パタン、パタンとしっぽを叩きつけているときは、フラストレーションがたまっている行動になります。イライラしていますので注意が必要です。気持ちよく触られていたのに急に噛みつかれた、という飼い主さんからのご相談は少なくありません。
実は、ねこちゃんに噛まれるのは「急」なのではありません。よく観察してあげると、しっぽをパタンパタンと動かしている行動が確認されることがあります。このような場合は、「イライラしてるから、触るのをやめてニャ!」とねこちゃんが伝えてくれているのです。それを理解できずに触りすぎていると、「限界ニャ! ガブリ! ネコパンチ!」となってしまうこともあります。変わりやすいねこちゃん心を、読み取って対応してくださいね。
■3:恐怖を感じているしっぽ
(1)足の間に挟む
足の間にしっぽが挟まっているときは、恐怖を感じている状況になります。怯えている行動ですので、それ以上アプローチされたくない合図にもなります。ねこちゃんが恐怖を感じている場合、自分から離れてそっとしておいてほしいと思っています。見つけたら、刺激を最小限にして対応してあげてくださいね。
(2)毛が逆立って太く見える
怒りが強い状態で、恐怖を感じながら攻撃的になっているしっぽになります。タヌキのようなしっぽになっているようにも見えるかもしれません。恐怖や怒りが強く、自己防衛の攻撃行動に発展する直前ともいえるでしょう。危険な状況ですので、刺激しないように対応してください。
「しっぽが語る猫語」は実はもっとたくさんあります! ねこちゃんのしっぽを観察し、ねこちゃんの気持ちを読み取ってみてください。
もちろん、しっぽだけでは感情を知ることが難しいこともありますので、体全体の動きや鳴き声など全体的なボディーランゲージも含めながら観察しましょうね。
※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。
【関連記事】
※ 猫のザラザラ舌のひみつ!舐めることから発展する行動学的疾患を獣医師が解説
※ うれしいの?怒ってるの?「猫のしっぽ」からわかる猫の気持ち
※ 【自分で飼育できない方向け】野良猫と出会った時にできる対策法とは?
※ かわいいけどこんな時は危険!? 猫が「寝言」を言う理由と注意すべきこと
【画像】
※ sophiablu,Ysbrand Cosijn,hannadarzy,Mike Shooter / Shutterstock
戻る
みんなのコメント