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【獣医師執筆】飼い主なら知っておきたい!注意すべき「猫の感染症」その原因と対策

佐藤貴紀

The vet 南麻布動物病院 獣医師
佐藤貴紀

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【獣医師執筆】飼い主なら知っておきたい!注意すべき「猫の感染症」その原因と対策

猫の感染症は、臨床現場においても頻繁に遭遇する病気であり、特に多頭飼いでは、管理を誤ると蔓延してしまう恐ろしい感染症が存在します。

そこで今回は、注意したい猫の感染症を3つ例にあげて説明します。症状や予防について、飼い主さんはぜひ理解を深めてくださいね。

 

■1:猫の上部気道感染症

飼い主なら知っておきたい!注意すべき「猫の感染症」その原因と対策
出典:https://www.shutterstock.com/

(1)概要

猫風邪といえば聞いたことがあるかと思いますが、人の風邪の症状に似ているためそう呼ばれている猫風邪は、感染率も高く、重症になりうる感染症です。特に幼若な猫は重篤な症状を呈することが知られている。

原因として考えられるのは、ウイルス、細菌、クラミジアなど、多岐に渡る多因性の疾患です。ウイルスは猫ヘルペスウイルス、猫カリシウイルス等が関与し、感染と発症リスクを高めます。

(2)症状

ヘルペスウイルスの感染経路は、経口、経鼻、経結膜であり、主な症状として初期にはくしゃみ、食欲不振、発熱、沈うつ、目および鼻からのしょう液などの分泌物、流涎があります。

典型例では、充血と浮腫も伴う結膜炎が認められ、潰瘍性結膜炎などを伴います。重症化すると結膜などが強い炎症によって目とくっついてしまう“癒着”を引き起こし、失明してしまうこともあります。

カリシウイルスの感染経路はヘルペスと同様です。症状としては、流涎を伴う口腔内潰瘍形成があげられます。その他はヘルペスと同様の症状が現れます。

(3)予防

今できる予防としては、ワクチン摂取です。感染猫が確認された場合は、環境中にウイルスが存在する可能性があるため、次亜塩素酸による消毒が効果的です。

 

■2:猫白血病ウイルス

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(1)概要

レトロウイルス科に属しFeLVとも呼ばれています。感染経路は接触によるもので、毛づくろいや共同生活により、唾液や鼻汁によって入ってくると考えられています。その他にも、経胎盤、経乳汁および性交による感染も考えられます。

(2)症状

症状から原因を特定するのが難しく、元気がなくなる、食欲減退など、全身の状態が悪化します。感染した猫の多くは免疫不全、リンパ腫、白血病、骨髄異形成症候群、赤芽球ろうなど重篤な疾患に陥り、4年以内に死亡してしまうと言われています。

(3)予防

感染し発症すると排除が難しくなるため、予防が重要です。予防方法としてはワクチンがあります。しかし、ワクチンは100%の予防ではないこと、ワクチン摂取部分の腫瘍が報告されていることなどを考慮する必要があります。

大事なことは、室内で管理し感染猫との接触を避けることです。

 

■3:猫免疫不全ウイルス

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(1)概要

“猫エイズ”とも言われ、感染症の中では比較的多い、よく聞く感染症の一つです。

名前の通り、免疫不全に陥ると死に至る怖い病気ではありますが、ウイルス自体はさほど強くなく、健康状態であれば一生涯なにも起こらないこともあります。

感染経路としては主に猫同士の喧嘩、交尾があります。さらには、母親からの乳汁によって伝搬するとも言われています。

(2)症状

前途したように、発症する、つまり免疫不全に陥らなければ病状が進行することはありません。発症するまでは健康な猫と変わらない生活を送ることができます。

ただし、発症すると重度の口内炎に陥ります。また、他の病気になりやすくなったり、ケガなどが治りにくくなったりするなどの症状がみられます。

(3)予防

この感染症に対するワクチンもありますが、副作用や効果も含め獣医師の中でも意見が分かれているものであり、日本の動物病院でもほとんど取り扱っていないのが現状の様です。感染猫との接触を避けるためには、室内から出さないことが重要です。

 

猫風邪は症状から診断し、白血病とエイズは動物病院で検査キットを使用することで結果がすぐに出ます。もし、いずれかに感染している場合は、他の猫との接触を避けることが重要です。

飼い主さんは正しい知識を身につけて、愛猫との幸せな生活を送りましょうね。

 

※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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