わんちゃんの耳は、犬種によって大きさや形に違いがあります。立ち耳、垂れ耳の違い以外にも、耳が根元から垂れている垂れ耳、耳の根元は立ちあがっている垂れ耳などがあり、それぞれ耳の特徴によって、さまざまな名前が付いています。
また、耳は単に聴覚をつかさどる“感覚器官”としての役割以外にも、感情の表現や、平衡感覚にも関係しています。
そこで今回は“わんちゃんの耳”について、お手入れ方法も交えながらお話していきます。
■耳の役割について
わんちゃんの耳は大きく分けて外耳、中耳、内耳と分かれいます。それぞれ異なる役割をもっていますが、犬種の違いがでるのは、外耳の一部である“耳介”です。
耳介とは耳の外側を示します。犬種によって形、大きさが異なり、個々の特徴が表れるところでもあります。わんちゃんの耳にある役割には、どのようなものがあるのでしょうか?
(1)外耳の役割:音を集める、感情を表す
外耳は耳介と耳道からなっています。耳介は私たちが一般的に言う“耳”のことで、耳介の中心には軟骨があり、外側は毛で覆われています。音を集める集音機能として発達している部位です。
また、耳介はわんちゃんが感情を表現する際に活用しいてるところでもあります。不安なときは耳が横に寝てしまい、積極的な攻撃性を示している、または興奮しているときにはピンと立ちます。耳はしっぽと同じくらいわんちゃんの感情が表れる部位です。
(2)中耳の役割:音を増幅する
中耳は鼓膜、鼓室、耳管そして耳小骨からなっています。鼓膜に音が伝わると膜が振動し、この振動が鼓膜に付着した耳小骨により増幅され内耳に伝わります。つまり中耳は、音を増強する役割を持っているところです。
(3)内耳の役割:平行感覚をもたらす
内耳は蝸牛管(かぎゅうかん)、半規管、そして前庭からなっています。蝸牛管は聴覚受容器があり、半規管には平衡感覚受容器があります。つまり内耳は、聴覚と平衡覚の2つの機能があります。
■わんちゃんの耳のここがすごい!
わんちゃんと暮らしている方は、どれだけわんちゃんの耳がいいかすでにお気づきかと思います。ご家族の車、足音までも聞き分けています。
わんちゃんの聴覚は人と比べると約6~10倍優れていると言われていますが、特に人に聞こえない高周波の音を聞き取ることが得意です。また、耳を自由自在に動かすことができるため、音の発生している位置を特定する“音源定位能力”が優れています。
これら2つの長所は、獲物の居場所を探すためにたいへん役立つ耳の特徴になります。わんちゃんは人に飼いならされておよそ1万5千年が経過していると言われていますが、それでもなお本能がたくさん残っています。
■犬種による違いについて
わんちゃんの耳はもともと立ち耳しか存在しませんでしたが、長い年月をかけて犬種を改良し、さまざまな形の耳ができあがりました(こうもり耳、ろうそく耳、ボタン耳など)。
耳が垂れていることで外耳の通気性が悪くなり外耳炎になりやすくなったり、聞こえづらくなったりするデメリットもでてきましたが、セントハウンドなど、嗅覚を利用して狩猟する狩猟犬として活躍するわんちゃんたちにとっては、耳から入ってくる情報をシャットアウトし、嗅覚から得られる情報に集中しやすくなるメリットがあります。
■耳のお手入れで気をつけること
わんちゃんの耳道は人とは異なり、L字型で長く、また毛が生えていますので通気性の悪さを作ってしまいがちです。皮膚がデリケートなわんちゃんは耳のトラブルも多いので、トリミングサロンや動物病院で定期的にお耳のお掃除をしてもらいましょう。
めん棒やコットンなどを使用し耳の奥までいれてしまうと、耳アカをどんどん奥まで押し込んでしまい逆効果を招きます。わんちゃん用のイヤーローションを入れて汚れを自然に外に排出させ、耳介についた汚れをふく方法が安全で、外耳を傷つけずにお手入れができます。
わんちゃんの耳は私たち人と異なる構造、そして能力を持っています。人にはもっていない優れた感覚のあるわんちゃんと暮すことにより、人は安全に食べ物を射止め、暮らすことができるようになりました。私たちの知らないわんちゃんの魅力は、まだまだたくさんありそうですね!
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【参考】
※ 林良博監修『イラストでみる犬学』(講談社)
【画像】
※ KateSun, Natee K Jindakum, Tony Kan / Shutterstock
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