わんちゃんにとって、“吠える”という行動はごく当たり前のことですが、現代社会では吠えることが問題となることがよくあります。
どんな状況で、どんな様子で、どのくらい吠えるのかは、わんちゃんによってさまざまですが、中にはいつも決まった時間になると吠え始めたり、ある特定の人にだけ吠えたりするわんちゃんもいます。
その吠える理由を考えてみることで、もしかしたら困った問題を軽減することができるかもしれません。
■わんちゃんは吠えることで気持ちを伝える
わんちゃんの吠え方は状況によって異なりますが、吠えているときのわんちゃんの様子も一緒に観察することで、わんちゃんがどんな気持ちでいるのか、ある程度分かります。
例えば、吠えながら時々うなり声が混じっていたら、攻撃的な気分の可能性が高いでしょう。そのときに耳を前に向け、しっぽもピンと立てているのであれば、積極的に「攻撃しよう!」という気持ちかもしれません。
逆に耳を倒し、尻尾を丸めて、後ずさりしながら吠えるのであれば、「怖いな、あっちに行ってくれないかな……」という意味かもしれません。
また口を開けて、尻尾もフリフリと振って、遊びを誘うような姿勢を取ったり、キュンキュン鳴いたりするようであれば、「一緒に遊んでよ! もっと近くに行きたいよ!」というおねだりの気持ちが強いと思います。
「無駄吠え」という言い回しがよく使われますが、わんちゃんは決して無駄に吠えているのではなく、きっと何らかの理由があって吠えているのです。
■わんちゃんは過去の経験を学習する
わんちゃんは、過去にとても怖い思いをしたり、反対にすごくうれしいことがあったりしたことをきちんと覚えています。その経験がわんちゃんにとって強烈であればあるほど、そして、その経験が何度も繰り返されるほど、深く刻み込まれていきます。
さらに、その時の周りのシチュエーションも一緒に記憶されると考えられています。例えば、いつも夕方になると吠えるわんちゃんの場合を考えてみましょう。もしかしたら、お散歩が大好きで、飼い主さんがその準備をし始めたり、もしくは日が暮れてきたりすることで、「もうすぐお散歩に行ける!」ということを想像して、気持ちが高ぶっているのかもしれません。
また、いつも決まった人に会うと吠えてしまうような場合はどうでしょう。その人はいつもおやつをくれる人でしょうか? そうだとしたら、わんちゃんは“その人に会う=おやつがもらえる”ことを学習しているのかもしれません。
反対に、その人はもしかしたらわんちゃんが苦手で、「あっちへ行け」というオーラを醸し出しているのかもしれませんね。そんな雰囲気を察知して、自分の身を守るため、もしくは「あの人は危険かも」と飼い主さんに伝えるために吠えているのかもしれません。
また、以前ある人に怖い思いをさせられた場合、似たような人に会うと、そのシチュエーションを思い出して、つい吠えてしまうということもあるかもしれません。さらに、吠えることに対する飼い主さんの対応も少なからず影響を与えます。
ひとつの例を挙げると、わんちゃんにとって苦手な人に会ったとき、思いっきりリードを引っ張られて不快な思いをすると、“その人に会う=不快な思いをする”ことを学習してしまう可能性があります。
すると、ますますその人に対する印象が悪くなり、吠えがひどくなるといったケースに発展してしまうことがあるのです。
■困った吠えを軽減するにはどうしたらいい?
最初にお伝えしたように、吠えることはわんちゃんにとって当たり前の行動です。なので、吠えを完全にゼロにすることはできません。
しかし、わんちゃんがどういう気持ちで吠えているのかをきちんと考えてあげることで、吠えるのを軽減することは不可能ではありません。
例えば、不安や恐怖から吠えているのであれば、「怖いよ!」「いやだ!」というわんちゃんの気持ちを少しでも軽くしてあげるために、吠え始める際にわんちゃんの大好きなおやつを与えて、いい印象を与えるという方法があります。
もちろん、吠えるきっかけを避けることが可能であれば、できる限り避けてあげることが先決です。間違っても、吠えることに対して、怖がらせるような罰は与えないようにしてください。不安や恐怖からくる吠えの場合には、余計に不安を増大させる危険性があります。
わんちゃんが吠える理由はさまざまですので、対処法もさまざまです。吠えることで、わんちゃんは一生懸命気持ちを伝えようとしているのに、それがわかってもらえないことを悟ると、吠えることを省略していきなり攻撃行動に発展する可能性も十分あります。
間違った方法で、余計に吠えを増やしてしまうよりは、困った吠えに対するアプローチは専門家の指導のもと行うことをぜひおすすめします。
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※ Valerie Nik, Aneta Jungerova, SunyawitPhoto, Sundays Photography, JStaley401, Jaromir Chalabala / Shutterstock
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