“セカンドオピニオン”という言葉は、みなさんご存知かと思います。しかし、飼い主さんも、時に獣医師も、誤解して認識、使用しているケースが目につきます。
そこで今回は、セカンドオピニオンの定義と、獣医療にそった使い方をご説明します。
■セカンドオピニオンとは?
セカンドオピニオンとは現在の治療方針について、主治医とは別の動物病院の獣医師に意見を聞くことです(医療での定義は※1を参照)。
■セカンドオピニオンの目的
多くの飼い主さんは獣医療に詳しくはありません。主治医の治療方針を、飼い主さんがより深く理解するための仕組みです。現状の治療方針を主治医以外の獣医師が、時に別の角度から説明することで、より納得して治療に臨めるようになることが、セカンドオピニオンの主たる目的です。
■セカンドオピニオンに対する誤解
獣医臨床の現場でよくある「別の病院でなかなか治らないので来院しました」とか「前の先生の治療に納得いかないので来院しました」というのは、セカンドオピニオンではなく、昔からある“転院”です。
残念なことに、プロである獣医師側も、学会報告、獣医療の専門WEB、病院HP、ブログなどで、転院とセカンドオピニオンとを混同しているケースが非常に多いです。
■混同が引き起こす損失
飼主の獣医療への理解を深める為の良い仕組みが、転院と混同されて喧伝されることは、単に、言葉の混同にとどまらず、時に悲劇的な事態を招きます。そのような状況では、本当にセカンドオピニオンが必要なときに、獣医師も飼い主さんも、その仕組みが使い辛くなります。転院のネガティブなイメージがつきまとうので、提案しづらくなるのです。
■セカンドオピニオンをうまく利用する
転院とセカンドオピニオンが混同されている状況ですが、だからこそ、上手く利用しなくてはいけません。
(1)セカンドオピニオンの希望を伝える
必ず主治医の方針をより深く理解するために、転院ではなく、あくまでセカンドオピニオンを受けたい旨を伝えてください。
(2)セカンドオピニオンの選定
医療と違い、獣医療は全科診療です。ファーストオピニオンが必ずしも専門家ではありません。獣医療には有能な総合医、専門家(個別の研究者)、専門医(その科しか診察しない獣医師)、認定医(他の科も診療する獣医師)など、様々な概念があります。信頼関係があれば、必ず主治医は飼い主さんの希望に沿った、よりよいセカンドを探してくれます。
(3)検査、経過のデータをもらう
(1)と(2)がスムーズに進めば、主治医にこれまでの経過に関する必要な情報をすべていただけるはずです。これを持ってセカンドオピニオンを受けます。
(4) セカンドオピニオンでの治療を望む
全科診療の獣医療ではセカンドがファーストより、より高度な病院で、医療で言う“紹介”にあたるケースが実は多いです。飼い主さんがそのままセカンドでの治療を望むのであれば、その旨を主治医に伝えてください。きっと主治医も、より高度な獣医寮を受けられる状況を喜んでくれるはずです。
獣医療は全科診療が基本ですから、信頼できるあなたの主治医も決してすべての診療科にbestではありません。しかし、だからといって、局面局面で主治医への信頼を自ら疑うべきではありません。
信頼できる主治医であれば、必ずbestの意見を持つ獣医師を知っているはずです。セカンドオピニオンは転院と違い、互いの信頼関係のうえに存在する仕組みであることを、みなさんで共有していきましょう!
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【参考】
※ セカンドオピニオンを活用する|がんになったら手にとるガイド [国立がん研究センター がん情報サービス]
【画像】
※ didesign021, Africa Studio, New Africa, metamorworks, Happy monkey, Stock-Asso / Shutterstock
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