散歩は、わんちゃんにとって社会との接点の第一歩。学ぶことがたくさんあります。だからといって、最初からあちこち連れ回さずに、落ち着いた場所で少しずつ慣らしていきましょう。
散歩の準備や気をつけて欲しいことについて、ドッグトレーナーの遠藤ゆかりさんに伺いました。しっかりと準備して、その日を迎えましょう。
目次
■お散歩デビュー前にしておくこと
ワクチンが終わるまではわんちゃんを外で歩かせることはできないので、首輪に慣らすなど家でできることをしてあげましょう。わんちゃんが首輪に慣れてきたら、リードをつけて歩く練習を家の廊下などで行ってください。
その後、外へわんちゃんを抱いたりカートに乗せたりして連れて行き、徐々に雰囲気や刺激に慣らしていきましょう。
また、散歩中にわんちゃんが興奮した時に落ち着かせるためにも、わんちゃんの名前を呼んだら飼い主に注目するように、「アイコンタクト」を身につけさせておきましょう。
■いざお散歩デビュー!必要なものリスト
お散歩デビューの前に、まずはわんちゃんの散歩に必要なグッズを揃えましょう。
<必要なグッズ>
・リード、首輪
リードと首輪は、わんちゃんの体に合うものを選びます。首輪は、指が1本入るように装着してください。
・迷子札
・フン取りグッズ
・おしっこをした時に水をかけるためのペットボトル
・水飲み食器
・おやつ
・換えのリード
<要検討グッズ>
・バッグ
散歩にトートバッグを持って行く飼い主さんが多いですが、トートバッグだと手が塞がれてしまいます。散歩していると、すぐにわんちゃんを抱き上げなくてはいけないことも出てくるので、ショルダータイプかウエストポーチタイプのバッグがオススメです。
■初めてのお散歩コースは刺激が少ない場所を
ワクチン接種完了後1週間したら、いよいよお散歩デビューです! お散歩デビューしたばかりのときは、できるだけ明るい時間を選んでお散歩させましょう。強風や雨が降っている日は避けてくださいね。
外には、わんちゃんにとってたくさんの刺激があります。お散歩デビューを成功させるには、わんちゃんに「外は怖くない」と思わせることが大事です。そのためには、騒々しい場所や、車や人の往来が激しい場所は不向きです。なるべく静かな場所を選びましょう。
高架下で聞く電車の音や飲食店の前にある"のぼり”が風で揺れる音など、私たちにとっては当たり前の風景でも、わんちゃんにとっては刺激が大きかったり、恐怖を感じたりすることがあります。そういう場所ではわんちゃんが固まってしまったり、逃げ惑うなどの様子を見せたりするかもしれません。"のぼり”を遠目から見せて安全を確認させて、それでも戸惑うようなら、わんちゃんを抱くなどして安全を確保した上で落ち着くのを待ちましょう。
また、わんちゃんは最初から外を上手に歩くことができるわけではありません。外を怖がって歩かない子、興奮して走り出す子、やたらと人に飛びつく子、真っ直ぐ歩かないであっちこっち行ってしまう子など、さまざまなわんちゃんがいます。飼い主さんはリードを引っ張るだけでなく、わんちゃんが何に興味を持っているのか、または何に興奮しやすいのか把握しましょう。そうし、飼い主さんに注目できるように必要な声掛けを行いましょう。
ここで重要なのが、お散歩デビュー前に外の雰囲気に慣らしているかいないかです。外の雰囲気に少しでも慣らしておけば、実際の散歩を行う際の助けになります。
■自転車やバイクのすれ違いに注意!
お散歩に出かけるようになったら、わんちゃん同士のすれ違いやコミュニケーションの方法についても学んでいくことでしょう。最初から上手くはいかないと思いますが、飼い主さんはアシストしてあげてください。
いきなり散歩で出会ったわんちゃんとコミュニケーションをとるのはハードルが高いので、まずは性格が温和で面倒見の良いわんちゃんに協力してもらうのがオススメです。初めから落ち着いた挨拶ができる子犬はいません。挨拶や交流させる際は、わんちゃんの動きを安易に飼い主さんが阻害しないことです。
この時期、挨拶や交流の機会を奪うと、慣れや経験が養えなくなってしまいます。わんちゃんは怖がっているのか、それとも遊びたがっているのか、吠えたり唸ったりするのであれば、なぜそうするのかを観察の中から知ることが大切です。
また、道路を散歩していると、自転車やバイクとすれ違うことがあります。わんちゃんのなかには、このときに追い掛けて一緒に行こうとする子、逃げようとする子がいます。わんちゃんは自転車やバイクと接近すればするほど冷静さを失うので、どちらの行動も大変危険です。
自転車やバイクが来るのがわかったら、わんちゃんに「マテ」の指示をして、遠目から眺めさせてやり過ごす習慣をつけましょう。
■犬の社会化は一生続くもの
わんちゃんが人間社会で問題なく暮らしていくには、環境や状況など慣れておかなければならないものがたくさんあります。それを、“犬の社会化”と言うそうです。
犬の社会化は、生後3〜14週齢で行うのが良いと一般的に言われています。たしかに散歩デビューの頃の経験は重要ですが、その期間内に全て完了するものではなく、生きている間ずっと必要なことです。
“慣れる”ということは、平気になるということです。どんなことも特別ではなく、当たり前のこととして受け入れられるようになるには、経験を積んでいくことが大事です。それには、決して不快や嫌悪に晒すのではなく、少しずつ和らげて、快い刺激をトッピングして慣らしていきましょう。
■ルールやマナーを守って楽しく散歩しよう!
飼い主さんによっては、“散歩=犬の排便”と思っている人もいるかもしれませんが、散歩はわんちゃんにとって社会性を身につける意味合いが強いです。“散歩=排便”とわんちゃんにも思わせないように、散歩に出かけたらベンチで休憩したり、同じ道を往復したりして、外でまったり過ごして帰宅を予測させないのが良いでしょう。もし、散歩中に排便した場合は、必ず拾って家に持ち帰ってから処分してください。くれぐれも、公園のトイレに流したり、公園のゴミ箱やコンビニのゴミ箱に捨てたりしないでくださいね。
また、散歩中におしっこやマーキングをしたら、水で流しましょう。ペットボトルに水を汲んで、お散歩バッグに入れて持ち歩くようにしてください。
ドッグランについても、お散歩デビューしてから間もない時期は、他のわんちゃんに慣れていないため危険です。外に十分に慣れてわんちゃん同士のコミュニケーションがとれるようになってから、ドッグランデビューしましょう。また、公園内や広場などで、リードを放すのは禁止されています。愛犬の安全を守るためにも、ドッグラン以外の場所でノーリードにするのは絶対にやめてください。ドッグランについては、こちらをお読みください。
お散歩デビューが不安な時は、ドッグトレーナーさんに相談するのも方法の一つです。また、わんちゃんを飼っているお友達がいたら、情報を収集しておくのも良いと思います。
わんちゃんにとって外が楽しい場所になるように、お散歩デビューの時期を大切に過ごしてくださいね。
<取材協力>
遠藤ゆかり(えんどうゆかり)
戸田市を中心に犬のしつけレッスンをしている、『PLUS WAN』のドッグトレーナー。わんちゃんと飼い主さんの楽しい生活に欠かせない“絆”を育むお手伝いをしている。HP:https://plus-wan.jimdo.com
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