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2月に多いチョコ中毒!食べたらなぜ危険?誤食の際の対応とは

立石絵美

獣医師
立石絵美

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2月に多いチョコ中毒!食べたらなぜ危険?誤食の際の対応とは

人は“チョコレート”をよく食べますが、犬にとっては有害な食べ物ですよね。そんなチョコレートについて、なぜ危険なのか、食べてしまったときの対策も含めて、獣医師の立石絵美先生に解説いただきました!

■身近にある食べ物が危険!?

2月に多いチョコ中毒!食べたらなぜ危険?誤食の際の対応とは
出典:https://www.shutterstock.com/

「犬にネギ科の野菜を与えてはいけない」、これはご存知の飼い主さんは多いと思います。他にも、チョコレート、ブドウ、ガムなどに含まれるキシリトールなど、私たちの身近にある食べ物にも毒性がある事も、情報として知っている飼い主さんも増えてきています。

では、もしうっかり食べてしまったら、どうしたらよいのでしょうか? また、どの位食べると危険なのかなど、実際に直面してしまったときにパニックにならないために、知識をおさらいしておきましょう。

■「メチルキサンチン」に注意

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チョコレートの成分の中で中毒の原因となるのはテオブロミン、カフェインなどのメチルキサンチンという物質です。この物質が過剰に犬の体内に入ると、急性の消化器症状、循環器症状、神経症状などを引き起こします。

しかし、チョコレートと言っても種類も色々ありますよね。どの位食べると危険なのかは、この“メチルキサンチン”が含まれている量によって異なります。

一般的に言われている、各種チョコレートや原材料に含まれているメチルキサンチン含有量(mg/g)は以下の通りです。

カカオ豆・・・14~53

料理用チョコレート・・・14~16

ダークチョコレート・・・5

ミルクチョコレート・・・2

ホワイトチョコレート・・・0.05

チョコレートに含まれるテオブロミンは、20mg/kgで異常が出ると言われています。用量が増えるほど症状は重篤となり、60mg/kgを超えると痙攣を起こし、100~200mg/kgでは半数の犬が死亡すると言われています。

上記の数値に当てはめると、ほんの数グラムで中毒症状が出る可能性があることが分かりますね。犬のテオブロミンの半減期(体内で成分が代謝されて半分の量になるまでにかかる時間のこと)は17.5時間と長く、少量でも繰り返し食べてしまうことで、成分が累積して体内に残ってしまうことから、症状が悪化することが多いと言えます。

■具体的な症状について

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体重に対する量の問題から、小型犬のほうが重症となりやすいので要注意です。それでは、食べてしまった時にはどんな症状が現れるのでしょうか?

まず、摂取後1〜2時間で起こる症状としては、落ち着きがなくなり、ウロウロしたり興奮したり、刺激に対して過敏な反応を示したりします。

続いて、尿失禁などが起こることがあり、摂取後2〜4時間では嘔吐や下痢などが起こります。体温は高い場合が多く、そのため呼吸は荒く、脈も速くなります。

そして、重症の場合は硬直や筋肉の痙攣、全身の痙攣発作が起こり、死に至ります。もしチョコレートを食べてしまった場合は、症状次第ではありますが、2〜4時間以内に吐かせる処置や胃洗浄などを行い、症状の進行を止めなくてはいけません。

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一般的に、この時間で体外へ排出できれば予後は良好と言われています。しかし、犬におけるメチルキサンチンの血清濃度は3〜4日持続するので、この期間は注意が必要です。

■獣医師の指示を受けよう

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チョコレート中毒に対して有効な解毒剤は存在しません。吐かせたり、吸着剤の投与などで成分ができるだけ体内に吸収されないようにしたりすると同時に、輸液や痙攣に対して対症療法を行うことでしか対応できないのです。

チョコレートを食べたかどうか確信が持てない場合も、口からチョコレートのニオイがしたり、包み紙が散乱していたりする場合は、念のため動物病院を受診した方がよいでしょう。

また、吐かせる処置は誤嚥や胃腸炎などのリスクもあるので、自己判断せず、獣医師の指示を受けてください。

日頃から動物の手の届く場所に食べ物を置かないような習慣をつけることも大切です。「つい、うっかり」が愛犬の命を奪うことにならないよう、充分に気をつけて管理してくださいね。

※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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【参考】

※ 小山秀一ほか(2015)『犬と猫の治療ガイド2015』インターズー.

【画像】

※ classpics, Sam Strickler, Svitlana-ua, Kamil Urban, eva_blanco, all_about_people / Shutterstock

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