猫は人と比べると大きな目を持っており、肉食動物として獲物を捕らえるために視力が発達していると考えられています。しかし、今では人と暮らす猫のほとんどは、もちろん狩りはしませんし、お家の中で暮らしています。では、そういう猫は、人と同じように視力が落ちたりするのでしょうか?
そこで今回は、猫の視力の特徴とその障がいについてお伝えします。
■猫の視力測定はなかなか大変!
「猫の視力は低下するのか?」この疑問に対しては、実は答えることが非常に難しいのです。なぜかと言うと、猫の視力測定は実のところかなり大変だからです。
お家の中で暮らしていると、人と同じように「近視」になっている可能性も否定はできませんが、残念ながら人のような視力測定はできません。また、猫は日常生活の中で、視力だけでなく嗅覚や聴覚、触覚など他の感覚器も上手に使っているため、なかなか視力だけを評価することができません。
そのため、実際に猫が近視であるのか、視力の異常が見られるかどうかは「分からない」という答えになってしまいますが、現実的には、ある程度近視になっても人ほどは生活に困らないと考えられています。
■猫と人で視覚って異なるの?
まず、一般的に人の視力に相当する感覚については、もともと猫は視力が低く、全体的にボヤッとした視界で生活していると考えられています。その一方で、狩りに有利なように動体視力が発達しており、さらには暗闇でも視覚を維持する能力には長けています。また、ヒゲや肉球の触覚、さらには聴覚や嗅覚が人よりも発達しており、視力が低い分そういった他の感覚器を駆使してカバーしていると考えられています。
また、猫のピント調節機能は、人のように目の中のレンズ(水晶体)を調整する筋肉が発達していないため、理論的には人のような近視(レンズ調節機能の低下)にはなりづらいと言えるのかもしれません。
■こんな仕草に注意!猫の視力低下を疑う行動について
猫が人と同じように、日常生活の中で視力が低下するかどうかははっきりしませんが、しかし病気によって視力が低下したり、場合によっては失明したりしてしまうことがあります。中には進行性の病気もありますので、病的な視力低下が疑われる、以下のような行動が見られるときは注意が必要です。
・猫の視力低下を疑う行動
・遊びが減った、寝ている時間が増えた
・起きていても、あまり動こうとしない
・動作がゆっくりになった
・ジャンプを失敗するようになった
・歩いていると物にぶつかるようになった
・物音に対して敏感になった
・目を気にするようになった
・目やにや涙が増えた
・明るさにかかわらず瞳孔が開いている
これらは筆者が診察する際に視力低下を疑う所見ですが、視力低下以外の原因もありますので注意するようにしてください。
■視力が落ちたかも?と思った時は動物病院へ
猫の視力が低下していると思われる場合、そのほとんどが「ブドウ膜炎」「白内障」や「緑内障」といった目の病気、もしくは神経の腫瘍(ガン)など目に関係する神経の病気が疑われます。
いずれも視力低下だけでなく、さまざまな症状を伴います。中には痛みが見られるものもありますので、猫が苦しくならないよう、上記のような仕草が見られた場合は、しっかりと診断と治療を受けるようにしてください。
ただし、眼科の診察は特殊な診察や検査が必要になることも多々あります。近くに眼科の専門医がいる場合、あるいはかかりつけの獣医師さんから専門病院の受診をすすめられた時は、できるだけ専門医の診察を受けるようにしてください。
猫は人と比べて目の機能的な違いがあり、もともとあまり視力は発達していません。そのため、人と同じ近視のようなものがあるかどうかは分かりませんが、病的な視力異常が見られることはあります。そのため、視力の異常を疑う仕草が見られるときには、必ず動物病院を受診するようにしてください。
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※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。
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