寒くなったらこたつに入って、暖まりながらみかんを食べるのが、冬の定番ですよね。”猫はこたつで丸くなる”と童謡では歌われますが、猫とみかんの関係は実際どうなのでしょうか? 今回は、猫にみかんを食べさせても良いかについて説明します。
■猫はどうやって「食べ物」を学ぶの?
野生の猫は、離乳期の頃に母猫に与えられたものを食物と認識し、成長すると自分で狩りをするようになります。つまり、教えられた安全な食物を食べ続けることで、代々生き延びてきたと想像できます。イエネコも同様に、離乳期の頃に与えられたものが、その後の食習慣に大きく影響すると言えるでしょう。
■猫はみかんを食べるの?
そもそも猫は、柑橘類の香りを嫌う傾向にあります。みかんを猫の鼻に近づけると、ほとんどの猫は顔をそむけたり逃げて行ったりするでしょう。したがって、大多数の猫はみかんを食べないと思います。”猫よけ”といってみかんの皮を利用したり、柑橘系の香りを利用したものも市販されています。
柑橘類の主に皮の部分には、”リモネン”という成分が含まれています。雑食性である人や犬は、リモネンが体内に入っても、肝臓のグルクロン酸抱合という解毒機能によって分解解毒できます。しかし、肉食性の猫はグルクロン酸抱合能力が低いため、リモネンによって中毒症状をしめす可能性があります。
■家庭で注意したいことは?
以上のような理由から、猫にみかんを与えるのは止めましょう。みかんを転がすと猫はじゃれて追いかけ、皮をかじるかもしれませんので、注意しましょう。もしも、猫がみかんをかじった後で嘔吐、震え、皮膚のかぶれなどがみられた場合、早急に動物病院を受診しましょう。
洗剤や柔軟剤も、猫のためには柑橘系の香りを選ばないほうがいいですね。アロマオイルは、猫にとって、柑橘系以外にも毒性が認められるものがありますので、専門家の指導の下で使用しましょう。
猫は、人とはもちろん、犬とも体の機能が大きく異なる点があります。猫が安全な日常生活を送るためにも、飼い主さんは猫を理解できるように努力し、さまざまな注意を払いましょう。そして少しでも長い期間、元気な愛猫と一緒の生活を楽しんで下さいね!
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【参考】
※2 国立医薬品食品衛生研究所訳 (1998)「世界保健機関 国際化学物質安全計画 国際化学物質簡潔評価文書 5. Limonene リモネン」
※3 長谷川篤彦監修(1999)「猫の診療最前線」インターズー
【画像】
※ Evgenia Terehova,ANURAK PONGPATIMET,Irina Soboleva S,OlgaBartashevich / Shutterstock
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