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猫との添い寝は危険!? 猫の飼い主さんに知ってほしい「人獣共通感染症(ズーノーシス)」

高橋身和

獣医師
高橋身和

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猫との添い寝は危険!? 猫の飼い主さんに知ってほしい「人獣共通感染症(ズーノーシス)」

犬・猫と人、両方に感染する病気についてご存知ですか? 今回は、特に猫と人の間で感染する可能性のある病気の危険性、気を付けることなどについてお話ししたいと思います。

■動物も人も感染する「人獣共通感染症」

猫との添い寝は危険!? 猫の飼い主さんに知ってほしい「人獣共通感染症(ズーノーシス)」
出典:https://www.shutterstock.com/

猫などの動物と人の間で起こる感染症は人獣共通感染症またはズーノーシス(Zoonosis)と言われます。比較的起こりやすい代表的な例を挙げていきます。

・お腹の中に寄生する「内部寄生虫感染症」

回虫、鉤虫、条虫症などの猫のお腹の中に住む虫の卵等が口に入ることにより、人にも感染してしまうことがあります。 

・ノミダニ等による「外部寄生虫感染症」

ノミやダニといった吸血昆虫が人の血を吸い、皮膚炎や痒みを引き起こすだけでなく、近年ではマダニに血を吸われることで感染する重症熱性血小板減少症(SFTS)の危険性も時折ニュースで見ることがあります。

・猫の爪や口の中に潜んでいる細菌が原因で起こる「細菌感染症」

カプノサイトファーガ感染症、猫引っ掻き病、パスツレラ症等、主に噛まれたり引っ掻かれることが原因で感染し傷の場所がひどく腫れたり、発熱や風邪のような症状が起こったりし、重症化する危険性もあります。

これらはほんの一例で、他にも多くのズーノーシスが知られています。 

■感染症のリスクを減らすためにできること

猫との添い寝は危険!? 猫の飼い主さんに知ってほしい「人獣共通感染症(ズーノーシス)」
出典:https://www.shutterstock.com/

では、どのようなことが原因でこのような病気が起こってしまうのでしょうか? また、猫とどのように暮らせば感染症のリスクを減らせるのでしょうか?

・愛猫の健康管理をきちんと行う

定期的に動物病院に通い、内・外部寄生虫駆除や健康診断等を行いましょう。そうすることで、人にノミダニがついてしまうことや、お腹の中の虫が人に感染してしまうことを予防できますし、愛猫の健康や生活の質も保たれます。

また、猫から人に感染するだけでなく、人が外からノミやダニを持ち込んでしまいそれが原因で猫に感染することや、屋内で昆虫をハンティングしてしまった等で寄生虫感染症の危険はありますので、日ごろからのチェックは屋内飼育の猫にとっても重要であると言えます。

・猫を完全に屋内飼育にする

猫を完全屋内飼育することで、感染症にかかるリスクを低下させることができます。外に行く猫の場合は、完全屋内飼育の猫に比べると各種感染症のリスクがかなり高いと言えます。

たとえば、皮膚糸状菌症といったカビの仲間が原因の皮膚炎にも、外に行く猫では感染してしまう可能性が高くなります。この病原体は特に人の幼児に感染すると、重篤な皮膚炎を起こす可能性があるので注意が必要です。また、痒みの非常に強いヒゼンダニというダニ感染のリスクも高まります。

屋内飼育にすることで猫の健康管理もしやすく、交通事故や怪我等のリスクも減らせるので、病気を予防する観点からは人にとっても猫にとってもおすすめです。

お外に行くことがやめられない子の場合は、かかりつけの獣医師さんと相談し、定期的に寄生虫駆除を行うことがおすすめです。月に一度、駆虫と一緒に診察を受けることで健康管理や初期段階での感染症の発見に役立ちます。

・人と猫の暮らす空間を清潔に保つ

寄生虫の中には、猫のうんちに排出され、片付けられることなくしばらく放置されることで感染能力を持つことが知られているものもあります。また、うんちが乾燥することによって、感染源である寄生虫の卵等が空中に舞い上がり、感染リスクが高まります。

うんちはすぐに片付けるようにし、清潔に保つことで人獣共通感染症のリスクも減らすことができます。トイレの片付けの際は直接糞尿に触らないように気を付け、その後はきちんと手洗いをするようにしましょう。 

・猫に噛まれた・引っ掻かれたらすぐに適切な処置をする

可愛い愛猫でも、飼い主さんが噛まれてしまったり、引っ掻かれたりしてしまうことがないとは言い切れません。一番の予防法は、猫が出す気持ちのサインをしっかり読み取り接することです。

もし、猫に血が出るほど噛まれたり引っ掻かれたりしたら、すぐに流水でなるべく血を絞るようによく洗い、早急に人間の病院を受診しましょう。状態によっては抗生物質の投与や、破傷風のワクチン等が必要になることもあります。

猫の牙や、爪には猫自身には問題が起こらなくても、人には重篤な感染症を引き起こす病原体が潜んでいることがあります。重症化してしまう可能性もありますので、小さい傷だといっても油断せずに適切に処置した後に念のため病院の受診をしましょう。特に、猫とそのような接触があった後、風邪のような症状が出た場合は注意が必要です。

・過度の接触を避ける

猫はとっても可愛いですが、口移しでごはんを与えたり、キスをしたりするなどの過度の接触は避けた方がよいでしょう。猫たちは、手の代わりに口や舌で体のいろいろな部分のお手入れをしています。万一、お腹の寄生虫感染症にかかっていた場合、口から感染してしまうリスクがあります。

愛猫家の方で多いのは、添い寝に関してのご心配かと思います。適切に健康管理をしている屋内飼育の猫と一緒に寝ることに関しては飼い主さん次第ですが、小さい子やお年寄り、免疫力の低下状態にある方は寝室を別にした方が無難だと思われます。ただ、お外に行く習慣のある子に関しては感染症のリスクを考えると寝室は別にする方が良いでしょう。

 

人獣共通感染症というと、怖いニュースが流れてくることもあり心配になってしまう飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか。

愛猫のためにも飼い主さんのためにも、適切に猫の健康管理、飼養管理を行い、猫と人の間にきちんとけじめをつけたふれあいをしていれば人獣共通感染症は闇雲に怖がる必要はないと思います。

病気を治療中の猫の場合や、小さいお子さんや免疫力の低下している方がご家族にいる場合は対応が変わることもありますので、心配な場合はかかりつけの獣医師さんに相談してみるのもいいでしょう。 

※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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