猫にも耳掃除が必要なのでしょうか? また、どのように掃除したらいいのでしょうか? 悩まれる飼い主さんは多いかと思います。耳垢の様子や、普段のしぐさが耳の病気のサインである場合もあります。また、間違った耳掃除は、逆に耳を病気にしてしまうかもしれません。今回は耳掃除の正しい方法や、病気のサインについてお話しします。
■耳掃除って猫も必要なの?
基本的に、耳掃除はご家庭で無理に行う必要はありません。猫の耳道には、自力で汚れを外に出す働きがあります。健康な耳の状態であれば、人が手伝わなくても猫自身で耳を清潔に保つことができます。また、間違った方法の耳掃除をしてしまうと、耳を傷つけ病気を引き起こしてしまうことがあります。
■耳の病気が疑われるのはどのようなとき?
・耳が痒いサインを出しているとき
(1)頭をプルプルとふる
(2)床に顔をこすりつける
(3)前足や後ろ足で耳を掻く
(4)掻いている現場を目撃しなくても耳の後ろあたりに引っ掻き傷やかさぶたがある
(5)こめかみの辺りの毛のうすいところに引っ掻き傷がある
・耳が臭いとき
・耳垢がたくさん出ているとき
・耳から黄色や緑色のどろどろした液体が出ているとき
このような症状が見られた場合、獣医師さんに相談することを検討しましょう。
耳の痒みや匂いは、耳が炎症を起こしている可能性があります。猫の場合は、自分の鋭い爪で耳の周囲を掻いてしまい、皮膚炎を二次的に起こすことがありますので、早めに動物病院に相談しましょう。
また、特に保護したての猫に多いのですが、耳に大量の黒っぽい耳垢が見られ、痒がる様子をする場合は、「ミミヒゼンダニ」という寄生虫に感染している可能性があります。その場合、ダニを駆除する薬の投薬が必要ですので、怪しい場合はすぐ受診しましょう。
シニア猫には、耳の中に腫瘍ができたことで耳の通気性が悪くなり、外耳炎を起こしている可能性もあります。
アメリカンカール、マンチカン、スコティッシュフォールドなど、耳の軟骨に特徴のある種類の猫は、耳の通気性が他の猫よりも悪いことがあります。耳のトラブルを起こしやすい傾向にありますので、特に耳のケアに気を付けてあげましょう。
■耳掃除を避けた方がいいとき
激しい痒みを起こしていたり、耳が赤くなってしまったりする場合は、重度の炎症を起こしている可能性があります。そのようなときに耳掃除をすると、敏感になっている耳に痛みを感じてしまうことがありますのでおすすめできません。
症状が激しい場合は、まずお薬で症状を落ち着かせてから、耳掃除をする方が治療の効果が期待できるときもありますので、かかりつけの獣医師さんと相談しながら自宅でのケアを行いましょう。
■自宅での正しい耳掃除の方法
・日ごろのお手入れ
猫の耳はとてもデリケートです。前述したように、健康な状態であれば頻繁に耳を掃除する必要はありませんが、少し汚れが気になるときは、ぬるま湯や猫専用の耳洗浄液をコットンに湿らせ、指が届く範囲で優しく拭き取ってあげましょう。
人と同じように耳掃除に綿棒を使いたくなってしまう方も多いかと思いますが、綿棒を使って耳の奥をお掃除することに関して筆者はおすすめしません。綿棒によってデリケートな耳道を傷つけてしまい、それが原因で外耳炎を起こすこともあります。また、せっかく耳道が排出した耳垢を、再び奥に押し込んでしまう可能性があるからです。
・耳が汚れやすい猫の場合
アレルギーなどの持病がある猫、品種的に耳のトラブルを起こしやすい猫の場合は、耳の入り口だけでなく奥の方のお掃除もしてあげたいという飼い主さんもいらっしゃるかと思います。
奥のお掃除の場合は、小さくカットしたコットンを耳洗浄液でヒタヒタに染み込ませ耳の穴の手前に置き、耳を外側からつまんで優しくくちゅくちゅと揉むことで洗浄液が耳道の奥に入り、ある程度洗浄することができます。その後、猫自身がプルプルと頭を振ることで汚れと洗浄液が排出されます。
慣れないうちは難しいと思いますので、かかりつけの獣医師さんに愛猫に合うやり方を相談してみることがおすすめです。
耳はとても敏感な場所なので、触られることを嫌がる猫も多いです。
耳を触られることを嫌がる大人の猫には、自宅でのケアは無理のない範囲で行ってあげ、痒みがでていないか、たくさん耳垢が出ていないかなどの症状をよく観察し、異常がある場合は早めの受診を検討しましょう。
子猫には、小さいうちからコットンで耳をふくトレーニングをしてあげると、大人になってからもさせてくれることが多いです。小さいうちから慣れさせるためにも、ぜひ始めてみることをおすすめします。
※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。
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