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【獣医師執筆】愛猫が虫をムシャムシャ…止めるべき?猫が虫を食べる理由と注意したい危険な虫

船田治子

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船田治子

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【獣医師執筆】愛猫が虫をムシャムシャ…止めるべき?猫が虫を食べる理由と注意したい危険な虫

2020123日情報更新

外出していた猫がセミをくわえてもどってきたり、室内飼いの猫がゴキブリを捕らえて食べてしまったりして、悲鳴をあげた経験はありませんか? 猫が虫を食べる理由や家庭で注意することなどについて、解説いたします。

■猫が虫を食べる理由

愛猫が虫をムシャムシャ…止めるべき?猫が虫を食べる理由と注意したい危険な虫
出典:https://www.shutterstock.com/

(1)元来、虫は猫の餌である

野生の小型ネコ科動物たちは何を食べているのでしょうか? 小さな哺乳類(ネズミ、モグラなど)、小鳥(スズメなど)、爬虫類(トカゲ、ヤモリなど)、昆虫(セミ、コガネムシなど)を捕獲して食糧にしているようです。

(2)子猫は母親に食べられる餌を教えられる

猫たちは、基本的には離乳期に母親から与えられたものを食べ続けます。野生の猫、または、人から餌を与えられていない野良猫は、母親から教えられたものを食べ、狩りの方法を学びます。そして成長すると、自分で狩りをして生きていくようになります。

(3)本能的に反応して追いかけている

飼い猫の場合、虫などの動きには本能的に反応して、追いかけると思います。しかし、飼い主さんから毎日十分な食事を与えられていますので、獲物を追いかけて捕らえても、食べずに終わるということもよくあります。

 

■猫が食べることによってリスクのある虫

愛猫が虫をムシャムシャ…止めるべき?猫が虫を食べる理由と注意したい危険な虫
出典:https://www.shutterstock.com/

 猫は昔から虫を食べ続けてきました。特に問題ないことも多いのですが、次のような危険もあります。

(1)毒をもつ虫

猫が、ハチやムカデを口に入れようとして、口唇周囲や口腔内を刺されることがあります。チャドクガ、イラガ、マツカレハなどの毒毛虫は、庭や公園の樹木などに大量発生することがあります。また近頃は、特定外来生物であるヒアリやセアカゴケグモのことが、話題になりましたね。

(2)寄生虫を媒介する虫

ノミが猫の条虫を媒介することを、ご存知でしょうか。猫が、毛づくろいなどによってノミを飲みこむことで、腸管の寄生虫である条虫に感染することがあります。また回虫卵などを捕食した昆虫からも、寄生虫に感染する可能性があります。

(3)感染性微生物を媒介する虫

ハエやゴキブリなどは、サルモネラ菌や腸管出血性大腸菌(O-157)などの病原菌を運ぶことがあり、食べてしまうことで感染する可能性も否定できません(※1)。

(4)殺虫剤をかけられた虫

猫が、体に殺虫剤がついたゴキブリなどを食べれば、薬剤の影響を受ける可能性があります。

 

■家庭でできる対処法

愛猫が虫をムシャムシャ…止めるべき?猫が虫を食べる理由と注意したい危険な虫
出典:https://www.shutterstock.com/

猫が虫を捕獲したり食べたりするのは本能ですから、止めさせることはできません。しかし前述の通り、虫を食べることによりさまざまな危険が考えられますので、なるべく猫に虫を捕まえてほしくない飼い主さんも多いかと思います。そのためにはどうすればよいのかを、お知らせします。

(1)猫を室内飼いにする

外出する猫は、外で何をしているのかなかなかわからないと思います。猫を室内飼いにすれば、さまざまな危険を回避できることもあり、長生きの可能性が大きくなるでしょう。 

(2)定期的な検便・駆虫やノミの予防をする

室内飼いが困難な場合や、室内飼いの猫でもよく虫を捕まえるのであれば、動物病院で定期的な検便や駆虫について相談しましょう。ノミの予防は飼育環境を問わず、多くの猫におすすめしています。

(3)虫を捕まえたり食べたりした後は、猫の様子を観察する

具合が悪いときは、早めに動物病院を受診しましょう。

4)衛生的な環境をつくる

屋内にゴキブリやハエなどをなるべく入れないように工夫しましょう。また、室内で殺虫剤を使用する場合は、猫に影響がないように注意して下さい。

 

猫に虫の捕獲を禁止するのは、本能的な欲求を抑えることにもなります。そのかわりに、おもちゃを使って十分遊んであげましょう。おもちゃをただ動かすよりも、虫の動きを真似て動かすと、猫は喜んで遊びます。猫といっしょに、楽しい遊び時間を過ごして下さいね!

 

※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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【参考】

※1 国立感染症研究所 昆虫医科学部「感染症を媒介する昆虫・ダニ類」

※2 公益社団法人千葉県獣医師会「公衆衛生 回虫症」

【画像】

※ Deniza 40x,Arthiti Kholoet,thka,Konstanttin / Shutterstock

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