タマネギを犬猫に食べさせてはいけないことを多くの飼い主さんはご存じかと思いますが、一体なぜなのでしょうか? 今回は、タマネギを食べてはいけない理由、また家庭で注意することをお話します。
■赤血球を破壊する!?「タマネギ中毒」の仕組み

犬猫がタマネギを食べると、「タマネギ中毒」を起こす可能性があります。タマネギに含まれる化学物質(有機チオ硫酸化合物)を摂取する
タマネギだけではなく、長ネギ、ワケギ、ニンニク、ニラ、ラッキョウなどのネギ類も同様の中毒を発症することがあります。熱を加えたもの、乾燥したものであっても要注意です。
猫は、犬よりもタマネギ中毒を起こしやすいと言われています(※)。犬はどの犬種でも中毒を起こす可能性がありますが、柴犬や秋田犬の一部は、遺伝的に赤血球が酸化作用に弱く、よりタマネギ中毒を発症しやすいと考えられます。個体差が大きいのですが、犬に体重1kgあたり5~10gのタマネギを与えた場合に、溶血性貧血を起こすとされています。
■タマネギを食べたらどんな症状が出る?

タマネギを食べた犬猫は、通常は食後1日以上経過してから「タマネギ中毒」を発症します。元気の消失、食欲の減退、下痢嘔吐から始まることが多く、血管内で溶血が起こると特徴的な赤い尿(血色素尿)が認められます。尿や便からは、ネギ臭を発することがあります。その他、貧血症状や黄疸がみられることもあります。
■食べてしまったらすぐに病院へ!

タマネギ中毒の治療には、対症療法しかありません。愛犬・愛猫がタマネギ類を食べたことに気づいたら、まずそれ以上食べさせないようにしましょう。そして食べた量に関わらず、すぐにかかりつけの動物病院に連れて行ってください。
食べた直後であれば、催吐剤を使用して吐かせることもできます。その他食べた量や症状に応じて、輸液をしたり、ビタミン剤、強心剤などを投与し治療しますが、重症の場合は輸血が必要になることもあります。
■家庭ではタマネギをとにかく避けて

家庭での対策としては、タマネギ類を与えないことが第一です。ネギの形が無くなるほど煮込んでいたとしても、犬猫に与えるのは厳禁。ハンバーグ、すき焼き、牛丼、メンチカツ、オニオンスープ、ケチャップ、ソースなど、ネギが含まれている料理は、煮汁を含め
筆者の経験ですが、こんなこともありました。飼い主さんが朝、お弁当のおかずにハンバーグを作り、ハンバーグを乗せたフライパンごとガス台に置いてゴミを出しに行きました。その隙に、中型犬が伸び上がってハンバーグを全部食べてしまいました。気付いた飼い主さんがすぐに来院し、早急な治療ができましたので、幸い大事に至らずに済みました。
前述のようにネギ類の入った調理品は多数あります。
※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。
【関連記事】
※ 犬が吐いた!すぐに受診したい緊急性のある症状と家庭でできる対処法
※ 犬が食べると危険な「魚介類」ってなに?夏を迎える前におさらいしよう
※ 原因と症状はひとつじゃない!? 犬の「胃炎」について知っておきたいこと
【参考】
※ 大島誠之助・左向敏紀(2011)『禁忌食(その1)―タマネギなどのネギ属とイヌ・ネコの健康』ペット栄養学会誌 14(2), 103-104
【画像】
※ Zanna Pesnina,NUM LPPHOTO,Jaromir Chalabala,FamVeld,Margarita Kuku / Shutterstock
戻る
みんなのコメント