わんにゃとの暮らし

【獣医師執筆】進学や就職、結婚…家族の増減で愛犬に対して気を付けてあげたいこと

菊池亜都子

獣医師
菊池亜都子

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【獣医師執筆】進学や就職、結婚…家族の増減で愛犬に対して気を付けてあげたいこと

私たちは、生きていく上で進学や就職、結婚や出産など、さまざまなイベントを経験する機会がたくさんあります。それに伴い、ご家族の構成メンバーが増えたり、逆に少なくなったりすることもあるかもしれませんね。そんな環境の変化には慣れないことも多く、ストレスを感じることもあるでしょう。しかし、ストレスを感じるのは人だけではありません。一緒に暮らしているわんちゃんにも、大きなストレスを与えてしまう可能性があるのです。

今回は、家族構成が変化したことによって、わんちゃんにどんな影響を与えるのか、そしてどのようなことに気を付けてあげればいいのかを考えてみたいと思います。 

■わんちゃんは環境の変化に敏感

進学や就職、結婚…家族の増減で愛犬に対して気を付けてあげたいこと
出典:https://www.shutterstock.com/

わんちゃんは、基本的にルーティンを好む動物です。そのため、ちょっとした生活リズムの変化や環境の変化に対して敏感に反応します。

たとえば、結婚や出産によって家族が増えたり、逆に進学や就職、単身赴任などで特に懐いていた人が家からいなくなったりすると、わんちゃんはその変化についていけず、精神的にとても不安定になることがあります。その結果、身体的にも不調になってしまうこともあるのです。

 

■ストレスを感じているかチェック

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わんちゃんは、ストレスを言葉で伝えることができません。したがって、普段からわんちゃんの様子をよく観察し、環境が変化した際には、いつもと違う様子にすぐに気づいてあげられるようにしておきましょう。

わんちゃんには、ストレスを感じたときに見せるサイン(=ストレスサイン)があると言われています。これを知っておくことで、わんちゃんがどのくらいストレスを感じているのかをある程度知ることができるのではないでしょうか。

まず、軽いストレスサインとして、

・あくびをする

・耳を後ろに倒す

・ハアハアと口で呼吸をする(パンティング)

・鼻をペロっと舐める

・後ずさりをする

・体を舐める

・体を掻く

・ブルブルッと体を震わせる

などが挙げられます。

わんちゃんによっては、これらがストレス解消法になっている場合もあるので、すぐにおさまってケロッとしている、そして、たまに見られる程度であれば、あまり過剰に反応しすぎず、少し様子を見ていても問題ないでしょう。

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しかし、ストレスが重度になってくると、以下のようなストレスサインが見られることがあります。

たとえば、

・震えが止まらない

・部屋の隅などに隠れて出てこない

・同じ場所を行ったり来たりする

・トイレ以外の場所で排泄をする

・自分の体を傷つける(出血するまで尻尾を噛む、皮膚がただれるほど舐めるなど)

・留守番ができなくなる

・吠える、唸る・歯をむく・咬むなどの攻撃行動を示す

・嘔吐や下痢をする

などです。これらのサインが見られたら、かなりのストレスを感じているかもしれません。そのまま放置せず、何らかの対処法を考える必要があります。

 

■少ないストレスで済むよう愛犬にできることは?

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あらかじめ家族構成が変わることが分かっている場合には、すべてを一気に変えるのではなく、できることから少しずつ環境を変えていき、徐々に慣れさせましょう。

たとえば、少しずつ家具の配置を変えていく、新しく家族に加わる人に頻繁に会わせておくなどがおすすめです。特にわんちゃんと一緒に過ごす時間が多かった人が家を離れる場合、寂しいからといつも以上にべったり接するのではなく、たとえば必ず行っていた散歩を他の家族にも任せるようにするなど、少しずつ距離をとることに慣れさせる練習をしておくといいでしょう。 

そして、家族構成が変わっても、わんちゃんと接する時間が少なくならないように気をつけましょう。意識して、いつもよりたくさん散歩に行ったり、一緒に遊ぶ時間を増やすことで、わんちゃんに少しでもストレスを感じさせないようにしてあげてください。

それでも改善されない場合には、かかりつけの獣医師さんや行動治療専門の獣医師に相談することをおすすめします。

  

以上のように、家族構成の変化がわんちゃんにストレスを与えることについて、きちんと理解することはとても大切ですが、実はあまり心配しすぎないことも大切です。

飼い主さんがあまりにも心配しすぎると、「何か大変なことが起こっているのかも」と、わんちゃんも余計に不安を感じてしまいます。私たちがどっしりと構え、わんちゃんを温かく見守る余裕を持つことが、わんちゃんの安心につながることもあるのです。

 

※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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