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【獣医師執筆】知っておけば対策できる!トイプードルがかかりやすい病気って?

吉本翔

獣医師
吉本翔

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【獣医師執筆】知っておけば対策できる!トイプードルがかかりやすい病気って?

ここ数年、国内の人気犬種ランキングで不動の1位である“トイプードル”。元気いっぱいな性格ともふもふの毛がかわいいですよね。いろいろなヘアースタイルにアレンジできるので、トリミングも楽しめます。

一方、そんな大人気のトイプードルは、かかりやすい病気がいくつかあります。そのような病気をあらかじめ知っておくことで、愛犬が万が一病気になったときにも対策しやすくなります。

そこで今回は、トイプードルの“かかりやすいといわれている病気”をいくつかご紹介します。

 

■トイプードルが好発犬種であるといわれている病気

知っておけば対策できる!トイプードルがかかりやすい病気って?
出典:https://www.shutterstock.com

(1)糖尿病

人の病気としてもよく耳にすることがある糖尿病。実は犬でも発生する病気なんです。アメリカの研究によると、トイプードルは糖尿病に比較的かかりやすい犬種であると報告されています(※1)。糖尿病にみられる典型的な症状には、おしっこの量が多い、たくさん水を飲む、体重が減っていくことなどが挙げられます。また、高齢のメスで糖尿病の発生が多いといわれています(※2)。

(2)膝蓋骨脱臼

膝蓋骨(しつがいこつ)は、膝の関節にあるお皿のことで、膝を伸ばすのに必要な機能をもっています。膝蓋骨脱臼は、この膝蓋骨がずれてしまい、本来あるべき場所にはまっていない状態のことをいいます。小型犬での発生が多いと言われており、トイプードルも発生が多い犬種の一つです(※1)。膝蓋骨が脱臼すると、膝が伸ばせなくなり、後ろ足を上げるといった症状がみられます。また、成長期に膝蓋骨が脱臼していると骨の形成にも異常をきたすといわれています。

(3)環軸不安定症

哺乳類は基本的に、首に頸椎(けいつい)といわれる骨が7つあります。一番頭側にある骨を環椎、二番目を軸椎といいます。本来、環椎と軸椎はしっかりと固定されているのですが、環軸不安定症ではその固定が緩くなっていて、不安定な状態となっています。頸椎の中を通っている脊髄を傷つけ命を脅かす恐れもある怖い病気です。

(4)特発性てんかん

てんかんとは、繰り返す発作を特徴とした脳の病気のことです。てんかんは、脳炎や脳腫瘍のように脳に明らかに原因がある場合もありますが、特発性てんかんは、発作を引き起こす明らかな原因が脳に認められないものをいいます。国内の研究によると、トイプードルはこの特発性てんかんが比較的多く認められる犬種の一つであると報告されています(※1)。また、特発性てんかんでは、初めて発作が見られる年齢が1~5歳であることが多いそうです(※2)。

(5)白内障・緑内障

人の病気としても耳にすることが多い白内障と緑内障。犬でも発生する病気で、トイプードルで比較的発生が多いとされています(※1)。白内障も緑内障も眼の病気ですが、トイプードルでは他にもかかりやすい眼の病気(進行性網膜萎縮症など)がいくつかあります。定期的に眼に異変がないかを確認することをおすすめします。

 

■健康上の注意

トイプードルでよくみられる病気をいくつか挙げました。これらの病気は遺伝的な素因が絡んでくるものも多く、発症を予防することは難しいかもしれません。しかし、早期に診断して適切に治療を行うことで、症状を緩和したり進行を遅れさせたりできる病気もあります。

病気の早期発見のために、普段からおしっこやうんちに異常はないか、歩き方がおかしくないかなど、愛犬を丁寧に観察するよう心がけましょう。

 

■食事・運動(お散歩)

知っておけば対策できる!トイプードルがかかりやすい病気って?
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健康な犬であれば、総合栄養食に分類されるフードをあげれば、基本的に問題はありません。人では肥満が糖尿病のリスクを上げると耳にすることが多いですが、犬の場合は明確に証明されてはおりません。しかし、肥満は様々な病気のリスクを上げることも分かっているため、適切なフードの量を上げ体重の管理はしっかりとするようにしましょう。

 

今回は、トイプードルに発生が多い病気をいくつか紹介しました。しかし、これらはあくまでトイプードルに好発する病気の一部です。犬も人と同じく様々な病気にかかりますので、日々の観察を心がけ何か異変があれば動物病院に行くようにしましょう。

 

※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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【参考】
※1 Alex Gough, Alison Thomas, Dan O'Neill. Breed Predispositions to Disease in Dogs and Cats (3rd edition). 2018.

※2 日本獣医内科学アカデミー編(2014)『Text book of VETERINARY INTERNAL MEDICINE 2nd edition(獣医内科学 第2版 小動物編)』文永堂出版

【画像】

※ mohitseb, Timodaddy, Raywoo / Shutterstock

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