春は一年のなかでも、子犬が比較的多く産まれる季節です。筆者の開催しているしつけ教室のパピークラスにも、春になるとさまざまな犬種のわんちゃんの参加が増えます。通常、出産はブリーダーの元で行われるケースが多いですが、自身のわんちゃんの子犬が欲しいという要望で、ご自宅でのブリードをご希望する方も中にはいらっしゃると思います。筆者の友人もその一人。ノーリッチ・テリアの子犬の出産をさせ、現在では元気な子犬を家族の一員として迎えています。
今回は、わんちゃんの妊娠にまつわるお話をしたいと思います。
■交配の年齢と妊娠したときの兆候は?
女の子の場合は、1歳を超えてから5歳くらいの間に交配をすることをおすすめします。わんちゃんの年齢が高くなると、人と同様に妊娠・出産のリスクが高まるからです。交配が成立し着床した場合、およそ21日前後から以下のような変化が見られることもあります。
・食欲の変化
・排尿パターンの変化
・落ち着きがなくなる
・乳が張る
・だるそうにしている など
妊娠20日ごろになると、エコー検査により妊娠を診断することが可能になります。また、妊娠28日ごろには胎児の動きや心拍の確認も可能になります。妊娠期間は、小型犬・大型犬などサイズに関係なく約9週間と言われています。
■妊娠中に飼い主さんがしてあげられること
わんちゃんが妊娠をすると、上記に挙げたように心身にさまざまな変化が見られてきます。安全な出産を迎えるために、何頭子犬がお腹の中にいるか、母犬の栄養は足りているか、安全な出産子育てができる環境を提供してあげられるかなど、さまざまな角度から見直してあげましょう。ご家族も愛犬の出産に不安を感じるかと思いますが、できるだけ母犬にストレスを与えないように穏やかな気持ちでサポートしてあげるといいでしょう。
■まるで体や心が妊娠したときのようになる「偽妊娠」
交配をしていないのに、乳が張ったり、乳汁が出たり、巣作り行動をしたり……そんなわんちゃんの姿を見かけたことはありませんか? それは偽妊娠になっている可能性があります。
・偽妊娠はいつ起こるの?なぜ起こるの?
避妊手術を受けていない、女の子のわんちゃんの発情期から発情後期に生じることが多く、雌性ホルモンの分泌が盛んな時期に見られます。このホルモンの影響で体も心も妊娠したときの同じ状況になります。ホルモンが過多だったり、バランスが崩れたりしたときに生じます。
・どのような症状が見られるの?
妊娠をしたときと同じ症状が見られます。乳が張ったり、乳汁が出たり、ぬいぐるみを子に見たて授乳をしようとしたり、巣作り行動をしたりします。この時期、感情が不安定になりイライラしたり、食欲が低下したりするわんちゃんも見られます。ぬいぐるみを取ろうとすると、本気で怒ることもあります。
・偽妊娠を示す犬に注意する点
偽妊娠を繰り返すことにより生殖器の病気のリスクを高める可能性もありますので、避妊手術を検討することも1つの手段です。
大切な愛犬が健康に妊娠出産を経験してもらうために、交配・出産を計画する前からかかりつけの獣医師さんと話し合うことをおすすめします。私たち人よりも妊娠期間は短いですが、かかるリスクは同様にあります。交配させる年齢やタイミング、帝王切開になる可能性なども一度獣医師さんに相談していただくと安心です。
また、母犬ができるだけストレスがなく出産・子育てができる環境を飼い主さんが作ってあげましょう。母犬が元気であるほど、ストレスに強く、不安や攻撃性が低く情緒が安定するなど、子犬にもよい影響が現れると言われていることもあるようです。母犬のケアも手厚くしてあげるとよいでしょう。
※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。
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