子犬はとても可愛いらしいですが、体の機能が未発達なことから体調を崩してしまうことも多く、心配される飼い主さんも多いかと思います。この記事では、そんな子犬期に特に気を付けたい病気やケガについてご紹介します。
目次
■気をつけたい病気1:ウイルス・細菌等の感染症
子犬期は成長途中で、免疫力も不安定です。このデリケートな時期は、特に成犬と比べて感染症に気をつけなければなりません。下記は、子犬が比較的感染しやすいと考えられる病気です。
・ケンネルコフ
・犬ジステンパーウイルス感染症
・犬伝染性肝炎
・犬パルボウイルス感染症
原因
各病原体にもよりますが、主に感染動物の唾液、便、尿、吐物等から免疫がついてないときに感染します。
症状
主に発熱・下痢・嘔吐・食欲不振・元気消失が認められます。
ケンネルコフでは、特に咳や鼻水、犬ジステンパーウイルス感染症では痙攣やふらつき、犬パルボウイルス感染症では血下痢便がよく認められます。犬ジステンパーウイルス感染症や犬パルボウイルス感染症、伝染性肝炎は特に子犬は重症化することが多く、犬ジステンパーウイルス感染症は治癒した後に後遺症が残ることもあります。犬伝染性肝炎やパルボは、死亡率も高い感染症です。
予防
ワクチン接種が予防になり得ます。完全に防御することができなくても、軽症で済む可能性があるので接種を推奨します。特に、生後16週齢以降の接種は重要です。
ワクチンプログラムが終わるまでは、地面に足をついてのお散歩や多数の犬が集まる場所に行くことは避けましょう。
ただ、この時期の子犬は「社会化期」と言う、他の動物や人とのふれあいを学ぶ大事な時期でもあります。自宅にずっとこもり家族以外と接触しないことは、後に問題行動に繋がる恐れがありおすすめできません。パピーパーティーやだっこしてのお散歩、家族以外の人やワクチンを接種している成犬との交流の機会を持たせてあげることも必要です。
■気をつけたい病気2:お腹の中の寄生虫感染症
原因
子犬の場合は母犬のお腹の中や乳汁からの感染が考えられます。
症状
症状がない場合から、軟便・下痢などさまざまです。栄養を虫に横取りされてしまって体重がなかなか増えない子もいます。
うんちの中にそうめんのような虫や、米粒のような虫が混ざっていることで、気づかれる飼い主さんもいます。
対応・予防
(1)健康診断の際に検便をしてもらう、(2)何か気になるものが便から出たら病院に持参する、という2つの対応がおすすめです。便を持参しなくても、肛門から少しだけとれるうんちでも検査は可能です。
ワクチンが済み外でのお散歩が出来るようになったら、他の動物の便を食べたり舐めたりしないように気をつけましょう。また、カエル等を食べることで感染する寄生虫もいますので、散歩の際には散歩コースにあるものを食べないように気を付けることが予防につながります。
■気をつけたい病気3:低血糖症
原因
体の機能が未発達な子犬は低血糖を起こしやすいです。中でも、食欲不振による摂取不足・嘔吐や、下痢に伴う吸収不良などにより低血糖を起こすことがあります。
症状
震え、ふらつき、元気消失、ボーッとしたりという症状が見られます。重度の場合では、痙攣や倒れてしまうこともあり、命を落とす可能性のある緊急状態です。
予防
しっかりとごはんを食べることが大事です。幼い間は1日最低でも3食が望ましいと言われています。子犬は、消化吸収能力やエネルギーを貯めておく機能も未発達なので、1度にたくさん食べても全部の栄養を吸収できません。少量頻回で与えることが理想です。
また、子犬は下痢や嘔吐をしてしまうことが多いですが、その際はごはんをふやかし、1度にあげる量を少なくしましょう。食べさせてみて、下痢嘔吐がないようならまた与えるなど、様子を見ながら対応しましょう。ごはんを抜くことは危険なのでおすすめしません。
少量ずつ与えても下痢や嘔吐が続く場合は、病院を受診しましょう。
緊急対応
ふらつきやボーッとするような意識の低下がある場合は、低血糖の可能性があります。心配な場合はガムシロップなど砂糖水を舐めさせ、病院受診を検討しましょう。
倒れてしまった場合は命に関わる緊急状態なので、砂糖水を口に擦りつけてからすぐに病院を受診しましょう。
無理矢理口にいれると誤嚥(ごえん)の危険がありますので、本人が舐める気がない、意識がなくて舐められない様なら、飼い主さんの指につけて、わんちゃんの歯茎に優しく塗り込んであげてください。飲み込まないとしても、粘膜からの吸収も期待できます。
■気をつけたいケガ1:異物誤食
やんちゃ盛りの子犬は、おもちゃを食べてしまったりごみあさりをしたりすることがよく見られます。食べた物は便から出ることもありますが、物によっては消化管を傷つけてしまったり、腸が詰まってしまったりすることもあり命の危険もあります。紐のような細い形状のものは、糸ノコギリのように腸を広範囲で傷つける可能性があり大変危険です。
中毒を引き起こす物もありますので、早めにかかりつけの獣医師さんに相談しましょう。素早い対応ができれば、食べた物によっては手術をすることなく吐かせることも可能です。
食べ残りがあるようなら、受診の際に持参すると診断や治療に役立つのでおすすめです。
■気をつけたいケガ2:骨折
子犬は骨も未成熟で細く折れやすいので、ソファなど高いところから落ちてしまったり、うっかり足にひっかけてしまって壁にぶつかったりして簡単に骨折してしまいます。足を上げたままであったり、元気がなかったりするようなら、早めに受診を検討して下さい。
■気をつけたいケガ3:他の動物からの攻撃
子犬は良い意味でも悪い意味でも、怖いもの知らずの子が多いです。動物によっては、その様子に驚いて攻撃してしまうこともあります。他の動物と接する際はしっかりと見守ってあげ、相手の様子によっては人が途中でふれあいを終わらせることも重要です。
上手に遊べていても、激しくなってくると興奮してケガをさせたりしてしまうこともありますので、遊ばせっぱなしにはせず2~3分上手く遊べたら一度ひきはなして落ち着かせ、また遊ばせるというような方法がおすすめです。
動物の中には他の動物と接することが好きではない子もいるので、お互いケガをしないためにも飼い主さんが気を付けてあげましょう。
子犬はまだ成長途中のため、気を付けなければいけないことがたくさんあります。飼い主さんがしっかりと見守ってあげましょう。子犬では軽い症状からすぐに緊急状態になることもありますので、少しでも不安なことがあれば獣医師さんに相談しましょう。
※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。
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