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狂犬病は犬だけの感染病ではない!正しく知って予防をしよう

わんにゃ365編集部


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狂犬病は犬だけの感染病ではない!正しく知って予防をしよう

2021年度の狂犬病予防接種が3月2日(火)よりはじまりました。
「狂犬病予防法」という法律まで定められている「狂犬病」について、皆さんどこまでご存知ですか?
病気の名前に「犬」があるため、犬だけが感染する病気と勘違いされやすいですが、すべての哺乳類が感染し、発症するとほぼ100%死亡するとても恐ろしい「人獣共通感染症」です。病気について詳しく知り、しっかり予防していってください。

■狂犬病の症状

症状

狂犬病を発症した動物に咬まれると、唾液中のウイルスが傷口から体内に入り、神経系を通って脳へ至ります。
感染後の初期は風邪のような症状(発熱、頭痛、筋肉痛、悪寒)がみられます。経過すると、恐水症(飲み込み時に強い痛みで水すら飲めない)、強風症(知覚過敏で風の音すら恐怖を感じる)、錯乱(音や光に敏感になり怯える)、幻覚が見える、興奮する、意識障害など特徴的な神経症状がみられます。その後、神経麻痺に発展し、昏睡状態となり呼吸器不全で死に至ります。

狂犬病は潜伏期間が1~3ヶ月と長いことに特徴があり、感染してから数年後に発症した事例もあるようです。この期間に狂犬病の診断をすることは難しく、「何らかの症状が出てから」となります。しかし、発症後の治癒もまた難しいため「死亡率ほぼ100%」の恐ろしい感染症です。

■狂犬病の発症地域

発症地域

日本国内では1922年「家畜伝染病予防法」が制定後、犬のワクチン接種が義務付けられ、それまで年間3500件もあった発生が数件までに減少しました。しかし、太平洋戦争により予防が疎かになると年間1000件にまで発生が増加しました。その後1950年に狂犬病予防法が施行され、7年間で発症撲滅、1957年以降の発生は確認されておりません。

このような過去から、狂犬病発生の拡大と蔓延を速やかに防止するためには、ワクチン接種による予防が重要となるわけですね。

狂犬病について

ほとんどの国で感染が確認され、毎年3万人~5万人の死亡が報告されています。すべての感染動物から人に感染する可能性があり、下記の動物は特に人への感染源にやりやすいので注意しましょう。
アジア、アフリカ:犬、猫
アメリカ、ヨーロッパ:キツネ、アライグマ、スカンク、コウモリ、犬、猫
中南米:マングース、コウモリ、犬、猫

日本での発生がないため、狂犬病に対する日本人の危険認識は低いです。そのため渡航中、不用意に近づいた動物に咬まれる例があるようですがとても危険です。1970年にネパール、2006年にフィリピンで、犬に咬まれた日本人が帰国後、狂犬病を発症した事例があります。

現在はあまりできない状況ですが、渡航する際にはむやみに現地の動物に触れないようにしましょう。もし咬まれた場合には傷口を直ちに洗浄し医療機関で治療を受けましょう。暴露後接種として、ワクチン接種を数回することで発病を防げる可能性があります。「狂犬病流行地域で動物との接触が避けられない」「近くに医療機関がない」場合には、渡航前の狂犬病予防接種が勧められています。

■狂犬病予防法

狂犬病予防法

『第一条 この法律は狂犬病の発生を予防し、その蔓延を防止し、及びこれを撲滅することにより、公衆衛生の向上及び公共の福祉の増進を図ることを目的とする』
上記のように万が一、日本国内で狂犬病発症が起きた際に、感染被害を最小限に留めることが狂犬病予防法の目的です。

犬を飼育するすべての飼い主には以下のような義務があります
・飼育開始~30日以内に市町村長へ犬の登録を申請(生後90日以上の犬が対象)
・申請時に交付される鑑札は、犬に装着する
・登録内容に変更があった際には30日以内に市町村長へ届け出る
(予防接種について)
・毎年1回の狂犬病予防接種
・注射済表を犬に装着する

また、この法律には罰則もあります。
・上記などに違反した場合、20万円以下の罰金
・都道府県知事の指示により、犬の捕獲(その際、自宅内などへの立ち入り)
・狂犬病発生時の措置についての違反行為や、検疫を受けていない犬の輸出入を行った場合、30万円以下の罰金

このように、犬を飼育する上でのルールを知らないでいると、厳しい罰則もあります。

狂犬病について


世界中で9割以上、特にアジアで人への感染源になっているのは犬です。
「なぜ予防接種が義務なのか」を知るためには、「病気の怖さ」について知ることがとても大切です。不安や不明点があれば動物病院で相談しましょう。

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