わんちゃんを動物病院に連れて行ったときに「ダイエットしましょう」と言われた経験がある飼い主さん、実は多いのではないでしょうか?
では、どのように痩せればよいのでしょうか。「うちの子は少食なのに痩せない」「運動させているのに痩せない」「好き嫌いが激しくて、ダイエット用のフードを食べてくれない」など、お悩みはそれぞれ違うと思います。
しかし、すべての太ったわんちゃんが、同じ方法で痩せられるわけではありません。わんちゃんの体質や性格に合わせて、ダイエットの方法を考えてみましょう!
■とにかく食べるのが好き!
食べる量をいきなり減らすとストレスになることがあります。まずは余計なものをあげていないかチェックしましょう。食事の他に、知らない間に家族の誰かがおやつや人の食べ物を与えているかもしれません。1日に必要な量のフードを別の容器に計って入れ、その中から与えるようにしましょう。家族でルールを共有するといいですね。
1日の量が適正なのに太る場合は、フードの量を5~10%ほど減らしてみましょう。この時、量が少なすぎて不満が大きくなるようなら、キャベツなどの野菜でかさ増しすることもできますが、初めて与える場合はお腹を壊したりしないか、少量からスタートする事が大切です。
それでも痩せない、量を多く食べないと満足できない、という場合は、ダイエット用の処方食などを検討しましょう。ダイエット用の処方食は単純にカロリーが低いだけでなく、Lカルニチンなどの脂肪燃焼成分が入っているなど、痩せやすい身体へとサポートしてくれます。
ただし、炭水化物が過剰になり、余計に太る体質の子もいるので、獣医さんの指示を受けながら進めていきましょう。
■運動しているのに太る
犬種によっては、1日に2時間以上散歩をしているのに体重が減らない、という子もいます。筋肉質で、骨格がしっかりしているタイプの子に多いのですが、消費したエネルギーを補うために食べ過ぎているケースもあります。
また、カロリーが低い市販のダイエット用フードは炭水化物が多く、タンパク質と脂質が低いパターンが多くあります。このような体質の子には動物性タンパク質と、適度な動物性脂質がバランスよく配合されているフードが適していると言えるでしょう。
タンパク質とビタミンが足りないと、筋肉を作る事ができないために代謝が低下します。筋肉量が少ないと運動してもエネルギーが消費できないため、過剰な糖質は身体に蓄えられてしまい、痩せることができないのです。
■お散歩が嫌いなインドア派
一方で、外を歩くのが嫌い、すぐに座り込んでしまい、抱っこしないと進まないというタイプの子もいます。特に小型犬に多い印象を受けます。
シニアのわんちゃんなどは、心臓の病気や関節炎などが原因で歩く事ができない場合もあるので、疑わしい場合は病院で診断を受ける必要があります。無理に運動させると危険な場合が多いので注意しましょう。
健康な場合は、日向ぼっこや外に連れ出して食事をさせるなど、おでかけが楽しくなるような経験を積み重ねていきましょう。大きな公園など、車などに怯えたりしない場所まで行ってから歩かせるなど、場所の配慮も必要かもしれません。
少しでも運動量を確保できたら、食事の内容を動物性タンパク質を増やしたり、野菜を加えたりして、筋肉がつきやすい体質になるよう工夫していきましょう。筋肉量が増えると疲れにくくなり、さらに運動量を増やすことができるようになります。
■好きなものしか食べてくれないグルメ犬
獣医さんから処方されたダイエットフードは見向きもしない、家でもおやつは食べるのにフードはほとんど食べない、という困ったわんちゃんも増えています。
市販のおやつにはフレーバーや添加物を使用して嗜好性を高めているものが多く、これらを日常的に与えていると、いわゆる“依存症”状態になってしまいます。
フードの場合、保存料や添加物にある程度の規制があり、栄養価を整えるために調整されているため、おやつに依存してしまっている子にしてみれば、「味気ない」「いいにおいがしないのに、なんで食べなきゃいけないの?」となってしまいます。
市販のおやつは手軽ですが、少し手をかけてあげることができるのであれば、お肉をゆでたスープごとフードにかけて与えたり、さっとゆでた野菜を刻んでトッピングしてみることをおすすめします。
もちろん、トッピングの分も一日の栄養素なので、その分フードの量を調整する必要があります。しかし、あまり厳密に考えず、まずは食べてくれるかどうか、続けられるかどうかを試してください。継続できそうなら、改めて量のバランスを整えていきましょう。
どのタイプのわんちゃんも、エネルギー要求量や環境に個体差があるので体重の変化を記録し、2~4週間ごとにダイエットプログラムを変更、調整する必要があります。急激なダイエットは体調を崩す恐れもあるので、週に0.5~2%以内の体重減少速度を目安に取り組みましょう。
設定する理想体重値は犬種標準値ではなく、その子の筋肉量や脂肪の付き方などで変わってくるため、「重いから肥満だ」と思いこまず、かかりつけの獣医さんと相談しながら設定していきましょうね。
※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。
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【参考】
※ 新井敏郎監修(2017)『臨床のための小動物栄養学』ファームプレス.
【画像】
※ AnikaNes, Dmytro Zinkevych, everydoghasastory, Iuliubo, Liliya Kulianionak / Shutterstock
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