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【獣医師執筆】過ごしやすい時期こそ要注意!犬の「季節の変わり目で注意すること」

船田治子

獣医師
船田治子

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【獣医師執筆】過ごしやすい時期こそ要注意!犬の「季節の変わり目で注意すること」

犬にとっても過ごしやすい季節を迎えました。秋になり涼しくなると、消耗した体力を回復して活動的になります。また食欲が増し、被毛も冬毛に換わり、体が寒い冬を迎えるための準備を始めます。

しかし油断大敵! 長引く夏バテや食べすぎ、換毛期のブラッシングなど、今の時期だからこそ注意したいポイントがあります。そこで今回は、“季節の変わり目に注意すること”をお伝えします。

 

■夏バテかもと思ったら…

元気がないのは“夏バテのせい”と決めつけず、隠れた病気を見逃さないように注意しましょう。食欲もあり、喜んで散歩に出かけたり、何時ものように飼い主さんと遊んだりするようなら、心配ないでしょう。

<対策>

食欲がない、動きたがらない、疲れやすいなどの状態が続くようであれば、動物病院に連れていきましょう。

 

■食欲の秋!食べ過ぎは注意

過ごしやすい時期こそ要注意!犬の「季節の変わり目で注意すること」
出典:わんにゃ365

冬に向かって食欲が増し、防寒のために体に脂肪をためようとするのは、犬にとって自然なことです。しかし、食べ過ぎには注意! 特に室内犬の場合、暖房の効いた部屋で生活していれば、体の脂肪を増やす必要はありません。

また、寒くなると散歩時間も少なくなりがちです。消費するエネルギーも減るので、油断すると太ってしまいます。

<対策>

フードは犬の年齢や健康状態にあったものを選び、指示された量を守って与えましょう。お腹が空いて困る場合は、フードの1日量を変えずに与える回数を増やしてください。おやつも食べ過ぎないようにしましょう。

 

■秋にも換毛期?

過ごしやすい時期こそ要注意!犬の「季節の変わり目で注意すること」
出典:https://www.shutterstock.com/

換毛は日照時間や温度変化に刺激を受けた、神経やホルモンの作用で起こります。成犬は通常、1年に2回換毛します。春になると冬毛が抜け落ちて、通風性のある夏毛となります。秋は夏毛から密生した冬毛に換わり、寒さから体を守ります。

室内で生活している犬は、寒暖の刺激が少ないので換毛期が目立たず、1年中少しずつ生え換わっていることもあります。

またシングルコートの犬は、ダブルコートの犬に比較して換毛が目立ちません。

<対策>

この時期にはブラッシングをすることで抜け毛や汚れを取り、皮膚が刺激されると血行が良くなり、いらなくなった夏毛から冬毛に生え換わることを促進します。

犬種に合ったブラシでまめにブラッシングをしましょう。

<被毛の種類について>

犬の被毛は大きく分けると、シングルコートとダブルコートがあります。シングルコートの被毛は、硬くて長い毛のみです。

例・・・パピヨン、ミニチュアピンシャー、トイプードル、マルチーズ、ヨークシャーテリア、グレーハウンドなど

ダブルコートは硬くて長い毛と、その下にアンダーコートと呼ばれる短い毛があります。

例・・・チワワ、ポメラニアン、ダックスフンド、柴犬、キャバリア、フレンチブルドッグ、ウェルシュコーギー、シベリアンハスキー、ラブラドールレトリーバー、秋田犬など

 

■ノミ・ダニ・フィラリア症の予防はいつまで必要?

ノミやダニは、気温が下がってくると活動が鈍くなります。マダニは草むらに生息していますが、種類によっては冬でも活動します。近年、ダニから人へのウイルス感染により、”重症熱性血小板減少症候群”を発症することが問題となっています。

ノミは冬でも暖房のきいた室内で繁殖することがありますので、室内犬は特に注意が必要です。フィラリア症は蚊が媒介します。おうちの周りやお散歩コースに、いつまで蚊が飛んでいるか気をつけましょう。

<対策>

様々な病気を運ぶ、ノミ、ダニの予防薬はいろいろな種類があります。犬の生活スタイルや環境、その年の気温によって予防期間を決める必要があります。ノミについては、掃除機や粘着テープ式クリーナーを使用して、お部屋のお掃除もしっかりしましょう。

1ヶ月に1回投与するフィラリア症の予防薬は、蚊がいなくなって1ヶ月後に最終の投薬をすることが重要です。忘れないようにしましょう。

いずれの予防薬も、予防期間は主治医の指示に従うことをおすすめします。

 

過ごしやすい秋ですが、急な寒暖の差には注意が必要です。子犬や高齢犬、病気をもつ犬たちは、温度管理にも気をつけながら、一緒に秋を楽しみましょう!

※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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【参考】
佐伯英治(1998)『マダニの生物学 動薬研究』57,p.13-21

【画像】

※ Aneta Jungerova, Mladen Mitrinovic / Shutterstock

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