みなさんは、愛犬の散歩をどのくらいの頻度で行っていますか? 特に、愛犬が小型犬の場合はどうでしょうか? そもそも小型犬に散歩は必要なのか、散歩の役割や散歩量の目安についてお話しします。
■小型犬の散歩は絶対必要?散歩のメリット
運動量という点に関して考えれば、小型犬の散歩は必ず毎日行かなければいけないというわけではありません。しかし、基本的には小型犬にも散歩は必要だと筆者は考えます。
散歩というのは犬にとって、運動以外にも多くのメリットがあるからです。
(1)運動不足の解消
もちろん健康のために適度な運動は必要ですし、犬種によっては体が小さくてもしっかりと運動をさせてあげなければいけない場合もあります。年齢や持病によっても、必要な運動量は変わってきます。
(2)気分転換・ストレス解消
室内犬の場合は、基本的に散歩に行かなければ、一日中同じ環境で過ごすことになります。ご自宅の中だけでは、わんちゃんの本能的な行動である"臭いを嗅ぐ”などの行動が存分にはできません。外で新しい臭いを嗅ぐことにより、気分転換やストレス解消に効果が期待できます。
(3)コミュニケーション
散歩をすることで、愛犬とのコミュニケーションの機会をきちんと設けることができます。もちろんご自宅の中でも触れあったり、声をかけたり、コミュニケーションの機会はありますが、大好きな飼い主さんを独り占めできる散歩はわんちゃんにとって特別です。きちんとアイコンタクトをしながら散歩をすることによって、愛犬との絆がより深くなるでしょう。
(4)五感への刺激
太陽の光や風の匂い、温度の変化などは屋内にいると感じにくいものですが、それらは全て脳への刺激となります。このような刺激が認知機能低下症の発症リスクを低下させるとも言われていますので、シニアの子も積極的に散歩につれて行ってあげましょう。
シニア犬は、子犬や活発な成犬に比べると運動要求量は少ないですが、だからといって散歩に行かなくていいわけではありません。シニア犬は体調がデリケートで、体力も低下しているので、わんちゃんの健康状態をみて無理のない範囲で行いましょう。歩くのが大変だったり、すぐに疲れてしまったりする子の場合はカートを使用して、一緒にお外の空気を感じるだけでも五感への刺激になります。
(5)社会化トレーニング
子犬にとって、特に社会化トレーニングは重要な意味を持っています。散歩をすることで、この世の中にはご家族以外の生き物がいて、さまざまなことが起こり得るのだということを学ぶことができます。また、社交性の高い子であれば、お散歩コースで仲良しのお友達も作れるかもしれません。子犬の頃からご自宅以外の環境に滅多に出ることがないと、外の世界のことを勉強する機会がないため、外の世界がとても怖いものだと思ってしまう危険性もあります。
恐怖によってご家族以外の人や動物とうまく交流することができなかったり、本来であれば感じなくてよいストレスを感じたりして、問題行動に繋がってしまう子もいます。
社会化トレーニングをすることで、生きていく上で起こり得るストレスを軽減させてあげることは、ご家族にとってもわんちゃんにとっても幸せな生活のために重要です。
■犬種別!散歩の距離・時間目安
散歩の時間や距離については個体差もあるので、決まった基準はありません。
たとえば、
・無駄吠えが多い
・おもちゃや家具などを破壊してしまう
・家中を走り回って興奮がおさまらない
などが認められるようなら、エネルギーの発散不足が原因となっている可能性があります。散歩の量を増やすことを検討しましょう。
また、一般的な犬種別の一回の散歩量の目安を記載しますので、こちらを参考にしてわんちゃんの様子を見ながら時間や距離を調節しましょう。
・体格が小さく運動要求量の比較的低い小型犬
・犬種・・・チワワ、ポメラニアン、ヨークシャー・テリア など
・距離・・・1~2km
・時間・・・20~30分程度
・運動要求量の比較的高い小型犬
・犬種・・・パグ、パピヨン、ミニチュア・ダックスフンド など
・距離・・・2~3km
・時間・・・30~40分程度
・とても運動要求量の高い小型犬
・犬種・・・ジャック・ラッセル・テリア など
・距離・・・3~4km
・時間・・・60分以上
中でも、小さい体格ながらジャック・ラッセル・テリアの運動要求量は大型犬並みです。毎日きちんとエネルギーを発散させてあげないと、無駄吠えや破壊行動などの問題行動を起こしてしまうこともあるので、散歩はしっかりと行いましょう。
散歩は1日2回行うのが理想的ではありますが、ご家族のスケジュール・愛犬の様子によって柔軟に調節しましょう。
■散歩で気を付けることは?
(1)散歩をする時間帯
たとえば、真夏の場合では、アスファルトが熱くなってしまい肉球にダメージを受けたり、命に関わる熱中症になってしまったりする危険性がとても高いです。出かけるときには、必ずアスファルトの状態を確認してから散歩に行きましょう。わんちゃんは私たちより地表近くを歩いているので、人はそこまで暑くなくてもわんちゃんの位置では高温になっていることがあります。特に、鼻の短いパグなどの犬種は要注意です。
(2)愛犬の持病を考えて
小型犬では膝や関節の持病がある子がとても多いので、一度かかりつけの獣医師さんに評価してもらい、その上で散歩量や散歩の仕方を検討するのもよいでしょう。
膝が悪い子では、激しいダッシュなどで靭帯を損傷してしまう危険性もあります。
心臓病の持病がある子も、激しい興奮はあまり良くないですが、適度な運動は健康にいいと言われています。心臓病の状態によって、散歩量も変わるかと思います。不安な場合は獣医師さんに相談しましょう。
(3)散歩以外の運動方法を取り入れるのも◎
運動要求量が高いわんちゃんは、散歩だけでエネルギーを発散させることは難しいときもあるかもしれません。その場合はドッグランなどを活用しましょう。
自由に走り回ることで、運動欲求を満たすことができます。ドッグランでは、わんちゃん同士のトラブルも起こる可能性があるので、しっかりと愛犬の様子を気にしてあげて事故の予防に努めましょう。
年齢、持病、犬種、性格によっても適切な散歩の量は変わってきます。愛犬の様子をよく見てあげて、散歩をご家族みなさんで楽しみながら行いましょう。
※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。
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